レノボ IdeaPad Slim 350 (14)の実機レビュー

更新日:2020年8月5日
CPU Ryzen 7 4700U
Ryzen 5 4500U
Ryzen 3 4300U
A4-3020E
メモリ 4GB / 8GB
ストレージ SSD
液晶サイズ 14インチ
液晶種類 FHD TN 非光沢
HD TN 非光沢
質量 約1.5kg
バッテリー 最大 約9時間
価格[税込] 3万円台~
CPU性能が高いのに安い!

IdeaPad Slim 350(14)は、Ryzen 4000プロセッサーを搭載した処理性能の高いノートPCです。

性能が高いのにも関わらず価格が安い点が大きな特徴です。価格重視の方には非常におすすめです。

また、質量が約1.5kgと、ちょっとした部屋の移動や、引き出しへの収納に便利な重さです。

ただし、液晶の視野角が悪いです。また、安いなりの細かいデメリットもあるので、詳しくは記事をご覧いただければと思います。

なお、インテルCPUを搭載したIdePad Slim 350i (14)という製品もあります。

 

レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は以下の構成でレビューをしています。

レビュー機の構成

Ryzen 5 4500U、8GBメモリ、256GB PCIe SSD

 

目次

お忙しい方は、「IdeaPad Slim 350 (14)の特徴」のみお読みください。

 

IdeaPad Slim 350 (14)の特徴

AMDモデルとインテルモデルあり

まずIdeaPad Slim 350シリーズには、AMD Ryzenプロセッサーを搭載したIdeaPad Slim 350 (14)という機種と、インテル Coreプロセッサーを搭載したIdeaPad Slim 350i (14)という機種があります。

下表の通り、AMD Ryzenプロセッサーのほうが処理性能が高く、またPC本体価格も安いので、Ryzenプロセッサーモデルのほうが個人的にはおすすめです。

CINEBENCH R20 マルチコア
Ryzen 7 4700U 2585
Ryzen 5 4500U 2054
Ryzen 3 4300U 1637
Core i7-1065G7 1484
Core i5-1035G1 1424
Core i3-1005G1 949
※ブルーの背景は、AMD Ryzenプロセッサー
※ピンクの背景は、インテル Coreプロセッサー

 

CPU性能が高い割に価格が安い

IdeaPad Slim 350 (14)は、3万円台から購入できる安さが魅力のノートパソコンです。ただし、執筆時点で38,610円の最小構成モデルは、AMD A4-3020E APUに、HD(1366x768)のパネルを搭載しスペックがあまりよくありません。それよりも、3,000円ほどアップした41,745円のRyzen 3搭載モデルのほうがおすすめです。一般ユーザーであれば十分な処理性能でこの価格はかなりコスパが高いと思います。さらに言えば、Ryzen 3モデルはメモリが4GBしかないので、アプリやブラウザのタブなどを多く起動する方は、Ryzen 5モデルが最もおすすめです。

しっかり使えるスペック

 

Webカメラを隠せる

IdeaPad Slim 350 (14)のWebカメラは、シャッターが付いており、レバーをスライドさせることで、物理的にカメラを隠すことが出来ます。

Webカメラを物理的に隠せる

 

残念なポイント

IdeaPad Slim 350 (14)の最も残念なポイントは、液晶の視野角が狭い点です。下図の通り、斜めから見たときに画面が見にくくなります。正面から見ても、少しでも画面の角度が合わないと白っぽく見えたりします。筆者はこの液晶で長時間作業すると眼が疲れてしまいます。

視野角が悪い

 

 

また、人によってはそれほど重要なポイントではありませんが、顔認証および指紋認証装置がありません。会社で離席時にロックをかけたい場合などは、パスワードでログインする必要があるので、やや面倒かもしれません。

さらに、USB Type-Cポートも無く、Wi-Fi 6にも対応していません(Wi-Fi 5(11ac)対応)。このあたりが、上位機種に比べて、見劣りする部分になります。

 

各用途の快適度

各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。

各用途の快適度
用途 快適度 コメント
Web閲覧
Office作業
処理性能は十分高いですが、ディスプレイがあまり見やすくありません。
動画鑑賞 CPUなどのスペックは十分ですが、画面はそれほど見やすくはありません。スピーカー音もそこまで良くありません。
RAW現像
画像編集
CPU性能は高いですが、液晶の色域が狭く、画像編集向きのPCではありません。
動画編集 FHD動画の簡易的な編集ならできると思いますが、動画編集向きのディスプレイではありません。
ゲーム 内蔵グラフィックスにしては高い性能なので、軽いゲームならできるものもあります。ただ、ゲームをするなら外部グラフィックスを搭載したノートPCがおすすめです。

 

ディスプレイのチェック

IdeaPad Slim 350 (14)のディスプレイのチェックです。

本製品は、HD液晶と、FHD液晶がありますが、ここではFHD液晶の特性について紹介します。

視野角が狭く品質の良いディスプレイではありません。短時間作業をするだけならいいですが、1日に数時間も使うような方は別機種がいいと思います。最大輝度は、当サイトの計測では260cd/m2と普通です。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。

  • 色域
  • RGB
    発色特性
  • 視野角
  • 画素・
    ギラつき
  • 映り込み
  • フリッカー

色域は狭いです。当サイトの計測ではsRGBカバー率は59.2%でした。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

ガンマ補正曲線です。かなり青色が強く発色していることが分かります。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

視野角は狭いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

画素形状は次の通りです。ギラつきはやや感じますが、それほど強くはありません。

画面拡大

非光沢液晶であるため、画面への映り込みは低減されています。

画面への映り込み

PWM調光によるフリッカーがないかを確認してみました。正確な確認方法ではありませんが、輝度を「0」に下げてもフリッカーは確認できませんでした。

フリッカーのテスト
※カメラのシャッタースピードを1/2000秒にして撮影したときの画面

 

キーボードおよびタッチパッドのチェック

IdeaPad Slim 350 (14)のキーボードのチェックです。

キーピッチ、キーストロークともに普通で、タイピングのしやすさも標準的です。

キーボード全体図
キーの拡大図

 

パフォーマンスのチェック

IdeaPad Slim 350 (14)のパフォーマンスのチェックです。

CPU

下表の緑色のバーが、IdeaPad 350 (14)または350i (14)で選択できるプロセッサーのベンチマークスコアです。なお、A4-3020Eはベンチマークを計測したことがないので掲載していません。Ryzen 7 4700UなどのRyzen 4000シリーズは非常に高い性能です。

CINEBENCH R20
~ CPU性能の評価 ~
Ryzen 5 4500U
他のCPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 4900HS 4250
Ryzen 7 4800H 3944
Core i9-10980HK 3713
Core i7-10875H 3557
Ryzen 5 4600H 3260
Core i7-10750H 2965
Ryzen 7 4700U 2585
Core i7-10710U 2211
Ryzen 5 4500U 2180
2054 [レビュー機で計測]
Ryzen 3 4300U 1637
Core i7-1065G7 1484
Core i7-10510U 1459
Core i5-1035G1 1424
Core i5-10210U 1418
Core i3-1005G1 949
Ryzen 3 3200U 751
Celeron N4100 459
Core m3-8100Y 434
Celeron 4205U 304
※緑色のバーが、本製品で選べるCPUです
※[レビュー機で計測]と書かれていないCPUは、他のPCで計測した代表値です

 

メモリ

IdeaPad Slim 350 (14)のメモリはデュアルチャネルですが、DDR4-3200ではなく、DDR4-2666です。

本製品のメモリ

 

ストレージ

ストレージには、PCIe SSDを搭載しています。PCIe SSDとしてはそこまで速くありませんが、十分な速度はあります。一般的な用途であれば体感速度は十分速いです。

CrystalDiskMark
~ ストレージ性能の評価 ~
256GB PCIe SSD
他のストレージとの比較(シーケンシャルリード [MB/s] )
PCIe-NVMe SSD 1500 ~ 3600
1743 [レビュー機で計測]
SATA-AHCI SSD 550
HDD 140
※緑色のバーが、本製品で選べるストレージです
※[レビュー機で計測]と書かれていないストレージは、他のPCで計測した代表値です

 

SDカードスロット

IdeaPad Slim 350 (14)は、フルサイズのSDカードスロットを搭載しています。ただし、アクセス速度はそれほど速くありません。

CrystalDiskMark
~ SDカードスロット性能 ~
最大300MB/sのUHS-Ⅱのカードで測定

 

その他のベンチマーク

その他のRyzen 4000シリーズのベンチマークスコアについては下のリンク先をご覧ください。

 

クリエイターソフトの処理時間

以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。Lightroom、Premiere Proのおおよその書き出し時間については上のリンク先をご覧ください。

TMPGEnc Video Mastering Works 7 によるエンコード時間

15W TDPクラスのプロセッサーにしては高速です。

  エンコード時間
x265でエンコード (※1) 19分06秒
VCEでエンコード (※2) 1分18秒
NVENCでエンコード (※3)
XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 AMD APU内蔵のハードウェアエンコーダー(AMD Media SDK)
※3 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
x265でのエンコード時間
Ryzen 9 4900HS 10分55秒
Ryzen 7 4800H 11分00秒
Core i9-10980HK 11分11秒
Core i7-10875H 11分54秒
Ryzen 5 4600H 13分10秒
Core i7-10750H 13分29秒
Core i7-9750H 15分37秒
Ryzen 7 4700U 15分44秒
Core i7-10710U 19分05秒
Ryzen 5 4500U 19分06秒 [レビュー機で計測]
19分49秒
Ryzen 3 4300U 25分22秒
Core i7-10510U 28分32秒
Core i5-10210U 28分53秒
Core i7-8565U 31分50秒
Core i5-8265U 32分07秒
Core i3-10110U 42分20秒
Core i3-8130U 45分24秒
※[レビュー機で計測]と書かれたもの以外は、他のPCで計測した代表値です
x265でエンコード時間中のCPUクロック

 

USB Type-C / HDMIの動作テスト

IdeaPad Slim 350 (14)には、USB Type-Cポートはありません。

 

HDMIの動作チェック

4KテレビへHDMIで接続したときのテストをしました。4096 x 2160もしくは3840x2160の4Kで表示は出来ていました。ただし、YCbCr444/30Hzか、YCbCr420/60Hzの表示となります。

4Kテレビ(ビエラ TH-55CX800)へ接続したときの詳細
※カメラで撮影しているのでモアレが出ていますが、実施の画面にモアレはありません

 

質量のチェック

IdeaPad Slim 350 (14)の質量のチェックです。

メーカーサイトには「約1.50kg」と記載されています。当サイトの計測値は下表の通りです。外へ持ち運ぶには重いですが、自宅の中だけで使うなら取り扱いやすい(収納や移動がしやすい)質量だと思います。

質量の計測結果(当サイトによる実測値)
  質量
PC本体 1.450kg
ACアダプター+電源ケーブル 217g

 

バッテリー駆動時間のチェック

IdeaPad Slim 350 (14)のバッテリー駆動時間のチェックです。

バッテリー容量は35Whとなっており、やや少なめです。

バッテリー容量

 

バッテリー駆動時間は下の通りで、バッテリー駆動時間はそこまで長くはありません。

なお、バッテリー時に画面がかなり暗くなりますが、「AMD Radeon Settings Lite」を起動し、「Vari-Bright」をオフにすれば、通常の輝度に戻ります。

バッテリー駆動時間
  バッテリー駆動時間
(1) JEITA2.0 最大 約9.0時間
(2) PCMark 10 Modern Office
(3) 動画再生時 5時間50分
(4) PCMark 8 Work 5時間47分
※画面輝度は約120cd/m2、電源モードは高パフォーマンス
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業

 

当サイトで計測した1時間あたりの充電容量は次の通りです。普通です。

1時間あたりの充電容量
純正ACアダプター
アイドル時
51%(約17Wh)
※PCの充電残量が10%から充電を開始し、1時間でどのくらい充電残量が増えたかを計測

 

カメラ・マイク・スピーカーのチェック

Webカメラ

一般的なノートパソコンのWebカメラの解像度は1280x720ですが、本製品の解像度は640x480しかありません。1万円台の少しいいWebカメラと比較すると、画質は大分落ちます。

Webカメラの前にマネキンなどを置いて、Windows 10標準のカメラアプリで撮影
Webカメラの画質
左:本製品、右:Logicool StreamCam

 

マイク性能

IdeaPad Slim 350 (14)のマイク性能は普通だと思います。

Zoomでミーティング中の音声を録音
本製品のマイク
[参考]1万円台のマイク
audio-technica AT2020USB+
※音声を再生するには、audioタグをサポートしたブラウザが必要です。

 

スピーカー

IdeaPad Slim 350 (14)のスピーカーはキーボードの上側に配置されています。音質は普通で、10点満点で4点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。あまり良くはありません。

スピーカー

 

 


 

 

以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は大きく変わります。

静音性のチェック

動作音(静音性)のチェック結果です。

全体的に低めの動作音です。

騒音値
計測機器:リオン NL-42K
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※CPU使用率およびGPU使用率は平均値です
※約10分経過後に計測しています
【PCの状態】
左から1番目:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目:Filmora 9 の動画編集ソフトでプレビュー再生
左から3番目:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコードした時(x265)

 

参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

使用計器の騒音値の目安

 

パーツの温度のチェック

ここでは、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時の温度のみを掲載します。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。

70℃台で推移しており、問題ない温度です。

x265でエンコード中のCPU温度

 

表面温度のチェック

IdeaPad Slim 350 (14)の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。

全体的に低めの温度です。手が熱くなることなく作業できると思います。

PC本体の表面温度
サーモグラフィー:FLIR ONE PRO
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後に計測しています

 

消費電力のチェック

IdeaPad Slim 350 (14)の消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。

TDP 15Wのプロセッサーなので、低めの消費電力です。

消費電力
測定機器:ワットチェッカー TAP-TST7
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後から、確認できた中で最も高い消費電力を掲載しています

 

外観のチェック

IdeaPad Slim 350(14)の外観のチェックです。

パームレストおよび天板はメタリック風で、それほど安っぽくは感じません。

 

ボディにはヘアライン加工が施されています。

 

天板の画像です。

 

ボディは薄いです。

 

側面のポート類です。SDカードスロットが多い点はメリットですが、USB-Cポートが無いのは残念です。

 

液晶が開く最大の角度は次の通りで、比較的開きます。

 

底面はプラスチック感があります。

 

底面カバーは割と外しやすいです。

 

メモリは、4GBがオンボードです。他にスロットが1つあります。

 

搭載されていたType 2242のM.2 SSDですが、Type 2280のSSDも搭載できそうです。

 

2.5インチベイもありますが、ケーブルや固定器具は搭載されていません。

 

ACアダプターは、ケーブル一体型で、プラグ部分は収納できません。容量は65Wです。

 

まとめ

以上が、IdeaPad Slim 350(14)のレビューです。

Ryzen 4000Uシリーズプロセッサーを搭載し、高い処理性能でありながら、非常に価格が安いノートPCです。

液晶の品質が悪い点がデメリットですが、「液晶にはあまりこだわらない」、「長時間作業しないので問題ない」といった方にはおすすめの製品です。

ただし、安い分、指紋・顔認証に対応していない、USB Type-Cポートが無い、Wi-Fi 6に対応していないなどのデメリットもあります。これらが必要ないかどうかも確認しておきましょう。

なお、液晶の視野角の良い上位機種として、IdeaPad Slim 550 (14)があります。Slim 350ほどではありませんが、こちらも価格はかなり安いので、1日に何時間も使うならこちらのほうがおすすめです。

 

CPU性能が高いのに安い

IdeaPad Slim 350 (14)

特徴

  • 価格がかなり安い
  • Ryzen 4000 Uシリーズ搭載で高性能
  • 液晶の視野角が悪い

こんなあなたに

  • 液晶が多少見づらくても気にしない方
  • 価格3万円台~[税込]
公式サイト:AMDモデル 公式サイト:インテルモデル

 

 

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