レノボ ThinkPad X1 Foldの実機レビュー

更新日:2020年2月9日
CPU Core i5-L16G7
メモリ 8GB
ストレージ 最大512GB PCIe SSD
液晶サイズ 13.3型(4:3)
液晶種類 QXGA(2048x1536)
折りたたみ式有機EL
質量 本体:約973g~
キーボード:178g
バッテリー 最大 約 11.7時間
WWAN 5G対応
価格[税込] 32万円台~
折りたたんでコンパクトにできる最先端PC

ThinkPad X1 Foldは、折りたたみ可能な有機ELを搭載したタブレットPCです。

折りたたむことで、非常にコンパクトになり、小さなカバンへも入れられます。

液晶を開けば、4:3の大きなディスプレイで作業することができます。縦長表示にすることも可能です。液晶の上の物理キーボードを載せれば、小型PCとして使うこともできます。

今までにないPCで、アイディア次第で、新しい使い方が発見できそうです。

ただし、価格は32万円からとかなり高めです。

公式サイトはこちら

 

ThinkPad X1 Fold の良い点

折りたたんで小さくなる

ThinkPad X1 Foldは、折りたたみ可能な有機ELを搭載したPCです。折りたためるメリットとしては、「手で持ち運びやすい」、「小さいカバンに入る」、「液晶が割れないように保護できる」といったことがあります。

個人的には、ボディバッグなどの小さなカバンで出かけたいときに便利だと思います。ビジネスバッグやメッセンジャーバッグなどを持って行くような用事ではなく、ちょっとした外出や荷物を減らしたい外出だと、ボディバッグのような小さなバッグで出かけたくなりますが、そんな時でもThinkPad X1 Foldならカバンに収納できて便利です。

折りたたんだとき
湾曲部分の画像

 

4:3の大画面で使える

液晶を開くと、広大な作業領域が広がります。13.3インチと対角の長さは、一般的なモバイルノートと変わらないものの、画面比が4:3と一般的なディスプレイよりも縦の比率がかなり高くなっており、とても仕事がしやすいです。また、QXGA(2048x1536)の有機ELということで、色鮮やかで画面も見やすいです。

ディスプレイの湾曲する部分は、開くとほとんど気にならず、見づらく感じることもありません。

4:3の見やすいディスプレイで作業できる
画面を広げたときの様子

 

縦長表示ができる

画面を縦長表示することができるのもメリットです。WebページやWordファイルをこういった縦長の画面に表示すると非常に見やすく、一度この表示に慣れると16:9の横長の画面が見づらく感じてしまいます。外出先でも、この縦長表示で作業できるのはとても嬉しいです。

縦長の表示にすれば、Webページなどが見やすい

 

狭いスペースで使える

キーボードを画面の半分に載せると、ノートPCのような形状で使用することができます。ロングシートの電車の中でノートパソコンを広げようとすると、隣の人の邪魔になってしまうので出しづらいですが、ThinkPad X1 Foldを、このような形状で使えば、とても小さいPCになるので、邪魔にならず使えます。

小型PCなので、狭いスペースでも使える

 

イラスト制作時などに便利

CLIPSTUDIOなどを使って、イラストを描くときも便利です。ヒンジが360度回転する2 in 1 PCの場合、タブレット形状にするとキーボードが隠れてしまって、ショートカットキーが使えなくなってしまいますが、ThinkPad X1 Foldであれば、キーボードを分離できるため、ペンでイラストを描きながら、ショートカットキーを使うことが出来ます。なかなかこのタイプの製品は無いため、面白いと思います。

ペンを使いながら、ショートカットも使える

 

まるで本のように読める

見開きのような形状にすれば、紙の書籍の本を読んでいるような雰囲気で、読書することができます。

紙の本のように持って読める

 

タスクバーが湾曲部分が何かかっこいい

ちょっとしたことですが、タスクバーが湾曲している部分に表示されるため、近未来的デバイスを使っているような感じがして、ワクワクします。

タスクバーが湾曲部分がかっこいい

 

Windows 10Xが提供されればもっと便利に

1年前のCES発表時では、Windows 10Xのモデルも提供されるようなことが言われていましたが、Windows 10Xの提供が遅れが出ており、未だ発売されていません。2021年の4月か5月頃から提供を開始するという情報もあります(参考ページ)。

なお、Windows 10Xとは、2019年10月に発表されたデュアルスクリーン向けのOSで、デュアルスクリーンで使いやすいように設計され、バッテリーの消費も抑えられています。もし、ThinkPad X1 FoldのOSをWindows 10Xにアップグレードできるなら、さらに使いやすくなるのではないかと思います。

 

ThinkPad X1 Foldの残念な点

Enterキーが空振りしやすい

続いて、ThinkPad X1 Foldの残念に感じた点を紹介します。まず、キーボードのEnterキーの左側の2列のキーが省略されている点です。この省略されているキーがあることで、ブラインドタッチをしていると、Enterキーの位置が思ったよりも左側にあるので、空振りしやすくなります。

省略されているキーは、Fnキーを押しながら他のキーを押しますが、これが結構面倒で、ブラインドタッチしにくいので、これらのキーを打つ時に時間がかかってしまいます。普通のノートパソコンよりも操作性は下がってしまうかなと思います。

Enterキーの左側の2列のキーが省略されている

 

とにかく高い

また、価格がとにかく高いです。初めて湾曲ディスプレイを搭載したパソコンで、プロトタイプ的な製品であるため高いというのは理解できますが、最低でも32万円(税込)という価格は、一般のユーザーにはなかなか手が出ません。20台限定の快適スタートセットがまだ売り切れにならないことからも、購入者は少ないのだと思います。第2弾、第3弾の製品に期待です。

価格が高すぎる

 

パフォーマンスのチェック

CPUには2つのチップを搭載

ThinkPad X1 FoldのCPUには、Intel Core processor with Intel Hybrid Technology(コードネーム:Lakefield)が搭載されます。

このCPUは、10nm世代で製造されるCPUとGPU、22nm世代で製造される低消費電力CPUとPCHの2つのチップが搭載されており、高負荷時は10nmチップが、スタンバイ時などは22nmチップが動作するようです(参考)。

では、実際のベンチマークスコアを見てみましょう。ベンチマークスコアは低いです。実際に使っていても、動作がややモッサリしていると感じるときがあります。

CINEBENCH R23
~ CPU性能の評価 ~
Core i5-L16G7
他のCPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 5900HX 13380
Core i7-10875H 10369
Core i7-10870H 9592
Core i7-11370H 7123
Core i7-10750H 6839
Ryzen 7 4700U 6499
Core i7-1185G7 6229
Ryzen 5 4500U 4764
Core i7-1165G7 4720
Core i5-1135G7 4424
Core i3-1115G4 3149
Core i5-L16G7 1795
他のCPUとの比較(シングルコア)
Core i7-11375H 1618
Core i7-1185G7 1517
Ryzen 9 5900HX 1463
Core i7-1165G7 1447
Core i7-10875H 1306
Core i5-1135G7 1294
Core i7-10750H 1277
Core i3-1115G4 1217
Ryzen 7 4700U 1214
Core i7-10870H 1176
Ryzen 5 4500U 1142
Core i5-L16G7 759
 :本製品で選択できるプロセッサー
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
Prime95で負荷をかけたときのCPUクロック
最適化(PL1:22W)
超高パフォーマンス(PL1:28W)
※Small FFTs (tests L1/L2/L3 caches, maximum power/heat/CPU strss)を実行
Prime95で負荷をかけたときのCPU温度
最適化(PL1:22W)
超高パフォーマンス(PL1:28W)
※Small FFTs (tests L1/L2/L3 caches, maximum power/heat/CPU strss)を実行

 

グラフィックス

グラフィックスも高くはありませんが、第10世代インテルCoreプロセッサーのComet Lakeくらいの性能はあるようです。

3DMark Night Raid
~ グラフィックス性能の評価 ~
Core i5-L16G7
他のグラフィックスとの比較(Graphics score)
GeForce GTX 1650 45149
GeForce MX450 30425
GeForce MX330 16714
Radeon Graphics
(Ryzen 9 4900HS)
16322
Intel Iris Xe
(Core i7-1165G7)
15677
GeForce MX250 15406
Intel Iris Xe
(Core i5-1135G7)
14551
Radeon Graphics
(Ryzen 7 Pro 4750U)
14302
Radeon Graphics
(Ryzen 7 4700U)
13861
Radeon Graphics
(Ryzen 5 4500U)
12126
Intel UHD
(Core i3-1115G4)
11487
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
11084
Radeon Graphics
(Ryzen 3 4300U)
9800
Intel UHD
(Core i5-10210U)
5800
Core i5-L16G7 5386
 :本製品で選択できるグラフィックス
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

ストレージ

ストレージには、PCIe-NVMe SSDを搭載しており十分な速度です。ただし、PCIe SSDの割にはそこまで速くはありません。

CrystalDiskMark
~ ストレージ性能の評価 ~
512GB PCIe SSD
他のストレージとの比較(シーケンシャルリード [MB/s] )
PCIe Gen4 SSD 7000
 PCIe Gen3 SSD 3500
1781
SATA SSD 550
2.5インチHDD 150
 :本製品で選択できるストレージ
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

バッテリー駆動時間のチェック

バッテリー容量は、約50Whでした。

バッテリー容量

 

キーボードをディスプレイに載せて、半面だけ画面を表示させた状態でのバッテリー駆動時間は下の通りです。普通のバッテリー駆動時間だと思います。

バッテリー駆動時間
  バッテリー駆動時間
(1) JEITA2.0 最大 約 11.7時間
(2) PCMark 10 Modern Office 8時間16分
(3) 動画再生時
(4) PCMark 8 Work
※画面輝度は約120cd/m2、電源モードは高パフォーマンス
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業

 

まとめ

ThinkPad X1 Foldは、折りたたみ可能な有機ELを搭載した最先端のPCです。

折りたたんで、小さなカバンへ入れられることが大きな魅力です。画面を広げれば、4:3の大きな画面で作業したり、縦長の表示で作業したりすることができます。キーボードと画面が分離できるので、イラストを描くときなどにショートカットが使えて便利です。

ただし、キーボードの一部のキーが省略されている点、折りたたむと割と分厚くなる点、価格が高い点は残念です。

この製品は、次世代製品のプロトタイプのような製品であるため、今後の第2弾、第3弾の製品に期待です。

 

折りたたんでコンパクトにできる最先端PC

ThinkPad X1 Fold

特徴

  • 折りたためる有機ELディスプレイを搭載
  • ペンにも対応
  • 価格が高い

こんなあなたに

  • 最新技術を使った製品に触れて見たい方
  • 価格32万円台[税込]~
公式サイトはこちら

 

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