Avira Premium Security Suiteの評価レビュー

更新日:2011年5月11日

Avira Premium Security Suite

高い性能で日本シェアを奪いそう

マルウェアの検出率が高く、動作も比較的軽いセキュリティソフト、Avira Premium Security Suiteのレビューです。

製品自体は25周年を迎えますが、日本語版は2009年12月に発売されたばかりであるため、まだ日本でのシェアはそれほど高くありまません。日本では、Norton、ウイルスバスター、McAfeeのシェアが高いです。しかし高い性能を持っているAviraは、今後、日本シェアを切り崩していくのではないかと思われます。

Aviraと言えば無料版が有名ですが、今回レビューする本ソフトは有料版です。無料版には無い機能を搭載し、多段でマルウェアからPCを防御します。

ここでは、無料版と有料版の比較から、本ソフトを実際に使った感想などを記載します。

詳細・購入はこちら:Avira公式サイト


はじめに

Aviraと言えば、”無料板”セキュリティソフトという印象が強く、また日本語版が発売されたのも2009年12月と遅かったため、非常に優れたセキュリティソフトであるものの、今まで統合セキュリティソフトの比較のページには掲載していませんでした。

しかし、有料版のAviraも人気が出てきているようなので、今回、"有料版"Avira Premium Security Suiteを実際に使用し性能を確認してみました。

尚、"有料版"のAviraシリーズには、「Avira AntiVir Premum」と、その上位版の「Avira Premium Security Suite」が存在します。Avira Premium Security Suiteのほうが、ファイアウォール、アンチスパム、ペアレンタルコントロール、バックアップなどの機能が搭載されており、よりオールインワンのセキュリティソフトとなっています。今回レビューするのは、Avira Premium Security Suiteです。

無料版との違い

Aviraと言えば無料版のイメージが強いため、有料版との違いが気になる人も多いかと思います。そのため、まずは無料版と有料版の違いを説明します。

両者の違いについては、Aviraホームページに記載されていますが、文字だけではわかりにくいので図にしてみました。上の図が有料版で、下の図が無料版の機能イメージ図です(すべての機能は書かれていません。上記リンクで掲載されている機能を中心に紹介しています)。


有料版「Avira Premium Security Suite」の機能イメージ図



無料版「Avira AntiVir Personal - Free Antivirus」の機能イメージ図

有料版は、定義ファイルなどによる通常のスキャンの他に、WebGuard、AntiDrive-by、MailGuard、AntiVirProActivなどの無料版にはない機能を搭載しています。

WebGuardは、Web閲覧をしているときにHTTPプロトコルを監視する機能です。マルウェアを含むWebページを発見した場合、ローカルディスク上にコピーされる前に、読み込みをブロックすることができます。定義ファイルやヒューリスティックによるスキャンはもちろん、後述するAntiDrive-by機能や、URLフィルタ、指定したファイルタイプ/MIMEタイプのブロックによって、ウイルス感染を防ぎます。

AntiDrive-byは、HTMLタグのiframeが非常に小さかったり、見えない位置に配置されていた場合など、不審なiframeの読み込みをブロックします。

MailGuardは、メールの送受信時にSMTP/POP3/IMAPプロトコルを監視する機能です。マルウェアに感染したメールを発見した場合、送受信をブロックすることができます。

AntiVirProActivは、クラウドを利用した新技術です。ルールに基づき疑わしい実行ファイルを発見した場合、そのファイルをブロックし、特徴データをクラウドへ送信します。クラウド上へ送られたファイルは分析され、結果がProActivのルールや定義ファイルに反映されます。

 

無料版には、WebGuardやMailGuard機能がないため、Web閲覧時やメール送受信時にマルウェアに感染してしまうかと言うと、そうとは限りません。Aviraはエンジンの性能が良いため、無料版でも通常スキャンで多くのマルウェアを検出することはできます。ただし、有料版のほうが多段でマルウェアをチェックしているため、より多くのマルウェアを検出可能になっています。

無料版を使う場合、やや防御の壁が少なく、足りない機能は別のソフトなどで補う必要が出てくる場合もあります。またサポートも受けられません。そのため、どちらかと言うと無料版は、PCやセキュリティに詳しく、時間の余裕がある人向けです。
有料版は、(フリーソフトで実現できる機能もありますが)多くの機能がオールインワンになって便利であることに加え、サポートを受けられるため、いざウイルス感染したときに解決が速くなります。そのため、どちらかと言うと有料版は、PC初心者や、時間を効率的に使いたい人向けです。

ここがすごい - 高い検出率

Aviraは高性能なスキャンエンジンを搭載しており、第三者機関AV-Comparativesの調査では非常に高いマルウェア検出率です。日本での利用者が多い三大セキュリティソフトと比較した結果は次の通りです。

ADVANCED+、ADVANCED、STANDARD、TESTEDの順番で認定レベルが付けられますが、AVIRAは過去4回のテストで全てADVANCED+の認定を獲得しています。Norton、McAfee、Trend Microのセキュリティソフトよりも高評価です。

また、興味深いのが、2010年11月のテストまでは"有料版"のAVIRA AntiVir Premiumでテストが実施されていたのですが、最新の2011年2月のテストでは"無料版"のAVIRA AntiVir Personal でテストされています。"無料版"は先に説明した通り、AntiVirProActiv等の機能がないため、全体的な検出率は落ちるのですが、それでも高い評価です。

AV-Comparativesのマルウェア認定レベルと検出率(2011年4月27日調査)
  2011年2月
On-Demand
2010年11月
Retrospective /Proactive
2010年8月
On-Demand
2010年5月
Retrospective /Proactive
AVIRA ADVANCED+
(97.5%)
※AntiVir Personal
ADVANCED+
(59%)
※AntiVir Premium
ADVANCED+
(99.8%)
※AntiVir Premium
ADVANCED+
(53%)
※AntiVir Premium
Norton ADVANCED
(95.5%)
ADVANCED+
(51%)
ADVANCED+
(98.7%)
ADVANCED
(43%)
McAfee ADVANCED+
(96.8%)
NOT INCLUDED ADVANCED
(99.4%)
STANDARD
(38%)
Trend Micro STANDARD
(94.4%)
NOT INCLUDED TESTED
(90.3%)
STANDARD
(26%)
※ADVANCED+、ADVANCED、STANDARD、TESTEDは認定レベル。括弧内は検出率。

ここがすごい - 動作の軽さ

動作も比較的軽いほうです。こちらもAV-Comparativesの結果を参照すると、Norton、McAfee、TrendMicroと比較して、同じ位、またはやや速いという結果でした。実際にCore i3-330MのCPUを搭載したそれほど速くもないパソコンで動作させてみましたが、特に動作が遅くなるような感じはありませんでした。スキャン時間やスキャン時のCPU負荷なども良好でした。

AV-ComparativesによるScanning Speed(2011年4月27日調査)
  2011年2月
On-Demand
Scanning Speed
2010年8月
On-Demand
Scanning Speed
AVIRA average fast
Norton average average
McAfee average average
Trend Micro average average

WebGuardのチェック

本ソフトは、WebGuardを搭載しているため、Web閲覧中に不正なサイトへアクセスしても、水際で(パソコンのディスク上へファイルがダウンロードされる前に)ブロックすることができます。

以下が、試しにウイルスをWeb上からダウンロードしようとしたときに表示される画面です。ダウンロードされる前にブロックされているのがわかります。


ウイルスをWeb上からダウンロードしようとしたときの警告画面。

MailGuardのチェック

本ソフトは、MailGuardを搭載しているため、メールにウイルスが混在していても、メールボックスに保存される前に、隔離等することができます。

今回、Thunderbirdを使いPOP3でウイルスが添付されたメールを受信してみたところ、次のような画面が表示され、正常にブロックできていました。また、POP3だけではなくIMAPと、送信時のメールチェックにも対応しています。

ただし、POP3を使用する際、SSLで暗号化し保護しているとMailGuardは働きませんのでご注意ください。


ウイルスが混在しているメールを受信したときの警告画面。

迷惑メール対策(AntiSpam)機能も搭載

MailGuardの機能の1つとして、AntiSpamと呼ばれる機能(迷惑メール対策機能)も搭載されています。迷惑メールを受信すると件名の先頭に[スパム:]という文字が挿入されます。


迷惑メールを受信した場合、件名に[スパム:○○]の文字が挿入されます。
ちなみに受信したメールは本サイトへ届いた迷惑メール。
HPにメールアドレスを掲載しているので毎日すさまじい数の迷惑メールが届きます。

 

実際に使ってみた迷惑メール検出の精度ですが、海外からの迷惑メールはよく検出しますが、日本からの迷惑メールはやや取りこぼしが多く見受けられました。ただし、下図のように学習機能があるため、使い込めば精度は上がっていくと思います。


迷惑メールの学習機能。

 

バックアップ機能(BackupSystem)のチェック

バックアップ機能は、バックアップ元と先の2つのフォルダを指定し、単純にコピーするだけの機能です。スケジュールを指定してバックアップすることは可能です。しかし、世代管理やオンラインストレージ上へのバックアップはできません。


バックアップのスケジュールの設定画面。

 

良い点は、バックアップ前にマルウェアをスキャンできることです。


バックアップ前にマルウェアのスキャンが可能。

ペアレンタルコントロール(ParentalControl)機能のチェック

子供に有害なサイトをブロックする機能も搭載されています。Windowsログインユーザー毎に、カテゴリを指定した有害サイトのブロックや、任意のURLを指定したフィルタリングをすることが可能です。


ペアレンタルコントロールの設定画面。

 

もし、アダルトサイトなどを閲覧すると下図のような画面が表示されます。


有害なWebサイトを閲覧したときに表示される警告画面。

 

インターネットを使用できる時間帯を指定することも可能です。子供が夜遅くまでインターネットを使用することを防ぐことができます。


インターネットの利用時間制限。

Avira Premium Security SuiteとAvira AntiVir Premiumの比較

最後に、有料版のAvira Premium Security SuiteとAvira AntiVir Premiumの比較をします。前者のソフトのほうが上位版になります。下の表では前者のソフトにあって、後者のソフトにない機能のみを掲載しています。

2つの"有料板"Aviraの比較
  Avira Premium Security Suite Avira AntiVir Premium
AntiSpam ×
FireWall ×
BackupSystem ×
GameMode ×
ParentalControl ×

※AntiSpam ・・・ 迷惑メールやフィッシング詐欺メールをブロックする機能
※FireWall ・・・ 特定のネットワーク通信を許可したり拒否したりする機能
※BackupSystem ・・・ データを別のディスク等へコピーする機能
※GameMode ・・・ ゲームプレイ中やテレビ視聴中にファイアウォールのポップアップを表示を制限する機能
※ParentalControl ・・・ 有害サイトから子供を守る機能。利用時間も設定可能

Windows XPをお使いの場合は、OS標準のファイアウォールの性能が悪いので、ファイアウォール(FireWall)機能を搭載したAvira Premium Security Suiteがいいと思います。ゲームをする場合もGameModeを搭載したこちらのソフトがいいと思います。

上でレビューした迷惑メール対策(AntiSpam)機能バックアップ(BackupSystem)機能ペアレンタルコントロール(ParentalControl)機能などに価値があると感じた方も、Avira Premium Security Suiteのほうが良いと思います。これらの機能を必要としなければ、Avira AntiVir Premiumでもいいと思います。

まとめ

以上が、Avira Premium Security Suiteのレビューでした。

マルウェア検出率が高く、動作も比較的軽いため、使って後悔のないセキュリティソフトだと思います。1点気になるのは価格の高さです。もう少し安ければユーザーも購入しやすいのになと思います。

本ソフトは、無料版でも高い性能を持っています。ただし、(マルウェアは多段で防御したほうがより安全になるのですが、)無料版は防御する段数が少なく、またファイアウォールや迷惑メール対策といった機能も搭載されておりません。場合によっては他のソフトで無い機能を補う必要があります。またメーカーサポートも受けることができないため、ウイルスに感染した場合、自分で対処できる能力が必要です。

以上から、無料版はPCやセキュリティに詳しく、時間の余裕がある人向けで、有料版はPC初心者や、時間を効率的に使いたい人向けであると筆者は考えます。ご自分のスタイルにあったソフトを選ぶと良いと思います。

詳細・購入・体験版はこちら