無料(フリー)セキュリティソフトの比較

更新日:2021年11月20日

 

ここでは、無料で使える日本語対応セキュリティソフトを比較します。

無料のセキュリティソフトの中にも、高い性能を持っている製品がありますが、同じメーカーが販売する有料ソフトの機能制限版が多いです。そのためPC初心者の方には、広い範囲でセキュリティ対策が行えて、詐欺や情報漏洩からも守られる有料のセキュリティソフトをおすすめします。

ある程度、知識のある方であれば、無料ソフトでも構いません。無料セキュリティソフトの足りない機能については、他の無料のソフトと組み合わせることで、強固なセキュリティ環境を構築できると思います。

 

目次

 

無料のセキュリティソフトの比較(概要)

下記に、無料(フリー)のセキュリティソフトの機能の比較表を掲載します。ここでは日本語版があるソフトを紹介しています。

セキュリティソフト名 アバスト!無料アンチウイルス Avira Free Antivirus AVG アンチウイルス 無料版 KINGSOFT Internet Security 20 Sophos Home Windows Defender
製品画像
マルウェア対策
ランサムウェア対策強化 × × × ×
ネットバンク保護強化 × × × × × ×
迷惑メール対策 × × × × × ×
ファイアウォール × × × × ×
ペアレンタルコントロール × × × ×
ID/パスワード管理 × × × ×
電話サポート時間 非対応 非対応 非対応 平日
10~13時
14~17時
非対応 平日9~18時
土日10~18時
ダウンロード先 メーカー
サイト
メーカー
サイト
メーカー
サイト
メーカー
サイト
メーカー
サイト
メーカー
サイト

備考

  • メーカーサイトや実際にインストールしたソフトを確認し、機能があると確認できたものを「○」にしています。ただし、見落としがある可能性もあります。 もし、機能があるのに「○」がついていない箇所がありましたら、こちらまでご連絡下さい。メーカー様からのご指摘もお待ちしております。

 

人気なのが、アバストとAviraとAVGです。無料のセキュリティソフトを使う人の多くは、この3つのどれかを使っている方が多いです。Aviraは一部の機能は日本語に対応しておらず、AVGは性能面がこの2つに比べて見劣りする部分があるため、個人的にはアバストがおすすめです。

KINGSOFTは、性能はよくありませんが、無料なのにサポートが付いている点はメリットです。

Windows 10標準のWindows Defenderは、ランサムウェア対策を強化する機能や、表には載っていませんが、Windows Defender Exploit Guardという脆弱性を突く攻撃から保護する機能などが付属しており多機能です。性能も最近は悪くないです。

 

マルウェア対策性能の比較

最も気になるマルウェア対策性能をチェックします。

ここでは、セキュリティソフトを評価する第3者機関として有名な、下の評価機関の最新のデータを掲載します。各機関は、無料版で評価している場合と、有料版で評価している場合があるので、混同しないように明記しています。

各セキュリティソフトの性能比較
    AV-Compa
ratives
AV-TEST SE Labs
アバスト 無料版 ADVANCED+ TOP PRODUCT 認定 AA
Avira 有料版 ADVANCED+ TOP PRODUCT 認定
Avira 無料版 AAA
AVG 有料版 TOP PRODUCT 認定
AVG 無料版 ADVANCED+ AA
KINGSOFT
Sophos Home
Windows Defender ADVANCED TOP PRODUCT 認定
※AV-Comparatives:Real-World Protection Test July-November 2018
※AV-TEST:The best antivirus software for Windows Home User – Apr 2019
※SE Labs:Home Anti-Malware Protection OCT-DEC 2018

 

いずれの第3者機関でも評価が高いのはAviraです。ただし、3つの評価機関のうち2つは有料版での評価です。無料版はやや評価が下がる可能性もあります。

アバストやAVGの評価も高いです。

KINGSOFTについては、最新の評価データがありませんが、過去の評価データはあまりよくありません。

Sophos Homeについては、過去の評価はそれほど良くないものの、2018年に、法人向けのIntercept Xの技術を取り込んでおり、性能は大きく向上していると思われます。最新の評価データはありません。

Windows Defenderは、以前はあまり高い評価ではありませんでしたが、最近の第3者機関による評価は上がってきています。上の表には掲載していませんが、AV-Comparativesの単月の評価ではブロック率が100%のときもあります。昔と違い、使っても問題ないレベルにきています。

動作の軽さの比較

動作の軽さについては、「AV-Comparatives」と「AV-TEST」を参照します。こちらの評価が高ければ高いほど、パソコンへの負荷が小さい(重くなりにくい)と言えます。

 

各セキュリティソフトの軽さ比較
    AV-Comparatives AV-TEST
アバスト 無料版 ADVANCED+ 6
Avira 有料版 ADVANCED 5.5
AVG 有料版 6
AVG 無料版 ADVANCED+
KINGSOFT
Sophos Home
Windows Defender SATANDARD 5.5
※AV-Comparatives:Performance Test April 2019
※AV-TEST:The best antivirus software for Windows Home User – Apr 2018 (Performance)

 

アバスト、AVGの評価は高めです。Aviraはやや評価が落ちていますが、高めの評価ではあります。

KINGSOFTのデータはありませんが使った限りでは軽かったです。Windows Defenderについては、AV-Compartivesの評価がそこまで高くありません。他のソフトより若干重いのかなと思います。

ただし、動作の軽さは、環境に左右される部分もあるので、実際にインストールし確認してみると良いと思います。

無料版と有料版の違い

無料版と有料版のセキュリティソフトの違いを解説します。ここでは、無料版のアバストで違いを確認します。

売れ筋セキュリティソフトとの比較

無料版のアバストと、有料のセキュリティソフトと比較したのが下の表です。比較した有料ソフトは、オンラインで人気が高いESETと、日本シェアNo.1のウイルスバスターです。無料版のアバストはかなり機能が少ないことが分かります。また、ウイルスに感染した場合など、有料ソフトは電話でサポートしてもらうことができますが、無料版ではそれができません。

【参考】セキュリティソフトの比較
ソフト名 アバスト!無料アンチウイルス ESET セキュリティソフト ウイルスバスター クラウド
製品画像
マルウェア対策
ランサムウェア対策強化
ネットバンク保護強化 ×
迷惑メール対策 ×
ファイアウォール ×
ペアレンタルコントロール ×
ID/パスワード管理 ○(上位版のみ)
電話サポート時間 非対応 毎日 9:00~17:00 毎日 9:30~17:30
ダウンロード先 メーカーサイト メーカーサイト メーカーサイト

 

アバストには、無料版の他に、有料版もあり、機能を比較してみます。下の表はメーカーサイトからの抜粋です。無料版はかなり機能が限定されていることが分かります。

アバストの無料版と有料版の違い
ソフト名 無料アンチウイルス [有料版]
プレミアム セキュリティ
製品画像
マルウェア対策
Wi-Fiの脆弱性スキャン
ランサムウェア対策
ハックアラート
サイレントモード
パスワード管理
レスキューディスク
詐欺サイトの回避 ×
疑わしいアプリの隔離 ×
ファイアウォール ×
ウェブカメラ覗き見防止 ×
データ完全抹消 ×
アプリを自動更新 ×
電話サポート時間 × 毎日 10時~19時

 

今回、アバストを例にとりましたが、他の無料セキュリティソフトについても、有料版のソフトと比べると機能が限定されているケースが多いです。無料セキュリティソフトを使う場合は、それを理解した上で使用しましょう。

 

各セキュリティソフトの詳細

各セキュリティソフトについて、長所、短所は次のようになっています。

アバスト!無料アンチウイルス
バランスよくおすすめの無料セキュリティソフト

アバストは、2016年にAVGを買収し、約4億人という世界最大規模のユーザー数を抱えたセキュリティソフトメーカーです。AVGの技術ノウハウを手に入れ、さらにユーザー数増加により脅威のサンプルが多く・早く手に入ることから、さらに性能が向上していると思われます。また、ユーザー数が多いということで安心感もあります。

早くから日本語に対応し、日本では人気の高い無料セキュリティソフトです。AV-ComparativesやAV-Test.orgでは有料版ではなく"無料版"のアバスト!でテストが行われていますが、比較的高い評価を得ています。

性能が良いだけでなく、動作も比較的軽く、日本での取り組みもしっかりしており、安心して使えます。

有料版では電話窓口も開設し、サポート内容も充実してきました。もし、今後、有料版へ移行するようなことがあっても安心です。

無料版と有料版の違いについてはこちらをご覧ください。

Avira Free Antivirus
英語が堪能ならおすすめ

有料版のAvira AntiVirusは、第三者機関で非常に高い評価を得ています。有料版は間違いなくトップレベルの性能です。ただし、無料(Free)版は、有料版よりもやや機能が少ないため、やや性能は落ちると思われます。

一応、日本語化されていますが、機能によっては英語で表示されてしまうため、英語が不得意な方は避けたほうが良いと思います。

また、2016年に日本の代理店が撤退し、有料版を購入しても、日本語でのサポートは受けられません。有料版への移行も視野に入れている方はご注意下さい。

なお、インストールすると、独自ファイアウォール機能があるように見えますが、Windowsファイアウォールを使用しているだけです。

その他、ネットワークに接続されたデバイスの脆弱性をチェックする「Home Guard」、デバイスを最適化する「System Speedup」、安全なショッピングのための「Safe Shopping」などの機能があります。ただし、日本語に対応していないためか、筆者の環境では、Safe Shoppingはうまく動作しませんでした。

無料版と有料版の違いについてはこちらをご覧ください。

公式サイトはこちら
AVG アンチウイルス 無料版
老舗のセキュリティソフト

古くから日本語に対応し、日本でのユーザー数が多い無料アンチウイルスソフトです。

上で記載しましたが、無料版のAVGは、無料版のアバストやAviraと比較すると、やや性能が落ちるように思われます。とは言うものの十分な性能はあり、使って問題ないレベルの製品ですし、Avastに買収されたことで、性能は向上していくと思われます。

ただ、今から使うなら買収元のアバストでいいかなと思います。

以前、閲覧中のサイトが安全かどうかを確認したり、トラッキングしているサイトを通知したりすることが可能となる「AVG Web TuneUp」という無料のブラウザ拡張機能がありました。このAVG Web TuneUpは、2016年に脆弱性が発見され、閲覧履歴が漏えいしたり、攻撃を受けたりする可能性があることが指摘されました(詳細はこちら)。この機能はもう提供されていませんが、セキュリティソフトでこういった不具合があると、製品自体の品質も不安になります。

PCを最適化する「PC TuneUP」、VPN接続を提供する「Secure VPN」、パスワードを安全に保存する「Passwords」などの機能はサブスクリプションとなっており、それぞれ月額を支払うことで使用できるようになります。

無料版と有料版の違いについてはこちらをご覧ください。

KINGSOFT Internet Security 20
無料でサポートが受けられる

2014年版に、従来からのスキャンエンジン「Blue Chip II」に加え、AVIRAのエンジンも採用され、マルウェア対策性能が格段に上がりました。しかし、2017年版ではAVIRAのエンジンが廃止されています。「AV-comparatives」と「AV-TEST.org」といったマルウェアの検出性能を評価する国際テスト機関のテストに参加していないので、詳細は分かりませんが、性能は大分下がっていると思われます。

付加的な機能としては、システムを最適化する「システム加速」、ファイルやフォルダを安全に削除する「ファイルクラッシャー」、「パスワード管理」などがあり、多機能です。 しかし、パスワード管理は、ID/パスワードの暗号化および安全性の高いパスワードの自動生成はできるようですが、WebサイトへのID/パスワードの自動入力はできないようです。使ってみましたが、あまり便利ではありませんでした。

メリットがあるとすれば、無料なのに電話やメールでのサポートが受けられることでしょう。

本製品は、ブラウザのホーム画面をKINGSOFT提供の「StartHome」にするか、ポップアップ広告を表示することで、製品を無料にしています。StartHomeもポップアップ広告も表示したくない場合は、1年更新版1,000円(税込)、無期限版2,000円(税込)、無期限3台版3,980(税込)、無期限5台版4,980円(税込)を購入することで、非表示にすることも可能です。

中国製のソフトという点は気になります。

公式サイトはこちら
Sophos Home
法人向けの技術を取り入れたセキュリティソフト

Sophos Homeは、主に法人向けにセキュリティ対策を提供しているソフォスが、コンシューマ向けに提供を開始したセキュリティソフトです。2016年ぐらいまで個人向けのSophos Homeがありましたが、しばらく姿を消していました。そして、2018年7月に再び登場しました。

法人向けのIntercept Xの製品が、ランサムウェア、エクスプロイト対策に優れており、これらの機能を取り入れた個人向けの製品も、優れた性能を持っていると思われます。

無料版には、マルウェアや安全でない可能性のあるアプリケーションなどをブロックする機能や、ウェブフィルタリング機能を備えています。ウェブフィルタリングの機能を試してみましたが、ブロックの設定にしておいても、結構すり抜けて表示されている感じでした。本格的に有害サイトから子供を守る場合には、少し物足りないような気がします。

Sophos Homeのメイン画面は、非常にシンプルです。機能の設定は、ウェブのコンソールで行い、複数のデバイスを一括して管理できます。

有料版のSophos Home Premiumには、高度なリアルタイムセキュリティ対策、高度なランサムウェア対策、高度なWebセキュリティ対策、インターネットバンキング保護、高度なマルウェア駆除などの機能があります。裏を返すと、無料版の機能の多くが高度ではないということになります。

無料版と有料版の違いについてはこちらをご覧ください。

Windows Defender
だいぶ性能が向上したWindows標準のセキュリティソフト

Windows に標準搭載されているセキュリティソフトです。Windows 7 ではスパイウェア対策機能しかありませんでした。Windows 8 以降は、ウイルスおよびスパイウェア対策機能が備わっていましたが、ウイルス&スパイウェア対策性能はあまり良くありませんでした。そのため、何も入れないよりはマシという程度だと思っておられる方も多いでしょう。

しかし、Windows 10 では、マルウェア検出性能が向上しており、第3者機関でもだいぶ評価が上がっており、使っても問題ないレベルになっています。

無料ソフトですが、ランサムウェア対策機能や、ペアレンタルコントロール機能も搭載しています。ランサムウェアの対策機能は、特定のフォルダーを保護し、ファイル、フォルダ、メモリ領域に承認されていない変更が加えられないようにします。

ペアレンタルコントロール機能の性能はそれほど高くなく、検索だとブロックされるサイトでも、アドレスを直接入力すると表示されたり、そもそもブロックして欲しいサイトでもブロックされなかったりしました。子供が見たサイトの情報などを確認したり、パソコンの使用時間を制限したりはできますが、有害サイトのブロックに関してはあまり期待はできないようです。

別途インストールする必要がないのはメリットです。

公式サイトはこちら

 

関連ページ

無料のセキュリティソフトはサポートを受けられないものが多いので、万が一ウイルス感染したときに、自分で駆除できるスキルがない人は避けたほうが良いと思います。そもそも、無料が良いか有料が良いか自分で判断できない人は、有料のセキュリティソフトを使うことをおすすめします。