レノボ ThinkPad T490s の実機レビュー

更新日:2019年8月17日
CPU Core i5-8265U
Core i7-8565U
メモリ 最大32GB
ストレージ SATA / PCIe SSD
液晶サイズ 14.0型
液晶種類 FHD IPS
FHD IPS タッチ
FHD IPS 省電力
FHD IPS PrivacyGuard
WQHD IPS
質量 約1.24kg~
バッテリー 最大 約23.95時間
価格[税別] 12万円台~
液晶とキーボードが非常に優秀

ThinkPad T490sは、液晶とキーボードが非常に優秀で、多くの用途で作業がしやすいモバイルノートです。

液晶ディスプレイは、省電力液晶や、周りから覗き見されにくい液晶、広色域のWQHD液晶などを選択可能で、目的に応じて最適な液晶を選択できます。

伝統的にThinkPadのキーボードは打ちやすく、タイピングもしやすいです。

質量がThinkPad X1 Carbonより劣りますが、そこさえ妥協できれば、性能は高く、価格もそれほど高くなくコストパフォーマンスの高い製品だと思います。

公式サイトはこちら

 

2019.8.17 au回線のUQ mobileで接続できるようになったので、情報を更新しました。

 

レビュー機は、当サイトの購入品です。以下の構成でレビューをしています。

レビュー機の構成

Core i5-8265U、8GBメモリ、256GB PCIe SSD、FHD IPS 省電力、LTE

 

目次

お忙しい方は、「ThinkPad T490sの特徴」のみお読みください。

 

ThinkPad T490s の特徴

魅力的な液晶がたくさん

ThinkPad T490sの液晶は、下の通り、5種類もの中から選択することができます。

ThinkPad T490sで選択できる液晶

FHD(1920x1080) IPS 250nits 非光沢
FHD(1920x1080) IPS 300nits 非光沢 マルチタッチ
FHD(1920x1080) IPS 400nits 非光沢 省電力
FHD(1920x1080) IPS 400nits 非光沢 PrivacyGuard
WQHD(2560x1440)IPS 500nits DOLBY Vision (Adobe RGB 100%カバー)

 

省電力液晶は、前述の通り、その名の通り電力消費の少ない液晶でバッテリー駆動が伸びます。

PrivacyGuard液晶は、画面ののぞき見によるプライバシーリスクを低減してくれます。側方のアングルから画面上のコンテンツが見られることをブロックすることができます。また、PrivacyGuard液晶搭載であれば、ユーザーの肩越しに画面をのぞき込もうとする人がいたら、ユーザーに警告を発する、PrivacyAlertという機能を使用することもできます。ただ、こちらの液晶はまだ選択することはできません。

WQHD DOLBY Vision液晶は、解像度が高く、また色域はAdobe RGBカバー率が100%もあるため、色の再現性に優れています。高精細な写真や動画をより綺麗に表示することができ、特にデジタル写真の現像などを行う方におすすめの液晶です。

 

液晶によって、質量などが変わるので注意

下の表に示すように、選択する液晶の種類によって、質量やサイズがやや異なります。また、輝度も大きく異なります。

約250nitsの輝度は、ノートPCとして普通のレベルですが、最大輝度625nitsのiPhone XRやXSと比べると見劣りします。屋外や外の光が入るような場所で使用するのであれば、明るいほうが画面が見やすいため、モバイル用途であれば、輝度が高くて質量も軽いFHD 省電力、WQHDの液晶がおすすめです。

  FHD
タッチ
FHD FHD
Privacy
Guard
FHD
省電力
WQHD
質量 約1.3kg 約1.28kg 約1.24kg~
サイズ[mm] [幅] 329.0
[奥行] 226.15
[高さ] 16.7
[幅] 328.8
[奥行] 225.8
[高さ] 16.1
最大輝度[nits] 300 250 400 400 500

 

LTE選択可能

ThinkPad T490sは、LTEモジュールを搭載可能です。別途SIMカードを用意すると、モバイルルーターなどを必要とせずに、どこでもインターネットに接続できます。なお、筆者が試した限りでは、au系のMVNO SIMは使用できませんでした。ドコモ系のMVNO SIMは使えましたが、LTEの接続にやや時間がかかるようでした。詳細は「LTEの通信テスト」をご覧ください。

LTE接続

 

室内では様々なドックを使用可能

ThinkPad T490sは、数多くあるThinkPadのドッキングステーションを使用できるのもメリットです。オフィスや自宅では、ドックに繋いで外部ディスプレイと周辺機器を接続しておき、外出するときはドックを外しPC単体を持ち出すといった使い方ができます。サイドコネクター設計のドッキングステーションも対応可能です。

ThinkPadのドッキングステーションが使用可能
サイドコネクター搭載で、これに対応したドッキングステーションも使用可能

 

長めのバッテリー駆動時間

バッテリー駆動時間は、ビジネスモバイルPCを選ぶ上で重要なファクターの一つになります。その点、ThinkPad T490sは省電力ディスプレイを搭載すれば、最大約23.95時間と、申し分ありません。他の液晶でも17.7時間という駆動時間です。ただし、WQHD DOLBY Vision液晶を選択すると、解像度が高くなるため、バッテリー駆動時間はやや短くなるはずです。

 

キーボードが打ちやすく、堅牢性も高い

ThinkPadシリーズ共通の特徴として、キーボードが打ちやすい点、堅牢性が高い点が挙げられます。

大きく湾曲したキーは指にフィットして押しやすく、従来からのThinkPadユーザーに好評のトラックポイントも搭載しています。堅牢性の面では、軍用規格の12項目、200以上の品質チェックテストをクリアしており、キーボードもspill-resistant仕様なので、水やコーヒーをこぼしても、すぐに壊れることはありません。

打ちやすいキーボード

 

従来モデルとの比較

ThinkPad T490sを旧モデルのThinkPad T480sと比較します。

まず、質量が軽くなりました。サイズもわずかにコンパクトになっています。CPUには最新のWhiskey Lake-Uを搭載するようになりました。また、液晶の選択肢が増え、最大のバッテリー駆動時間も長くなりました。

残念なのは、外部グラフィックスの選択肢がなくなり、有線LANはドングルが必要となり、SDカードスロットはmicroSDカードのみ対応となった点です。

従来機種のThinkPad T480sは、メイン兼モバイルPCに最適な構成でしたが、このような変化から、ThinkPad T490sは、よりモバイル用途を重視したノートPCとなっているようです。

従来モデルとの比較
  [本製品]
ThinkPad T490s
[従来モデル]
ThinkPad T480s
画像
CPU Whiskey Lake-U Kaby Lake R
GPU CPU内蔵 CPU内蔵 /
GeForce MX150
液晶種類 ①FHD IPS
②FHD IPS タッチ
③FHD IPS 省電力
④FHD IPS PrivacyGuard
⑤WQHD IPS Dolby Vision
FHD IPS
FHD IPS タッチ
WQHD IPS
有線LAN ドングル使用 あり
SDカード microSDカード SDカード
質量 約1.24kg~ 約1.32kg~
サイズ
[mm]
【③⑤の液晶時】
[幅] 328.8
[奥行] 225.8
[高さ] 16.1
[幅] 331
[奥行] 226.8
[高さ] 18.45
バッテリー 最大 約23.95時間
(57Wh)
最大 約15.4時間
(57Wh)

 

人気機種ThinkPad X1 Carbonとの比較

同じ14型のノートPCということで気になる、現時点(2019年5月20日)で未発売のThinkPad X1 Carbon 2019と、現行モデルのThinkPad X1 Carbon 2018との比較を行いました。

ThinkPad X1 Carbon 2019は、この中では最も軽くモバイルPCとしての性能は高いですが、おそらく発売するときは、かなり価格は高くなると思います。同 2018は、そこまで性能が変わらないものの、発売されてから1年経っていることもあり、価格が下がって買いやすいです。

ThinkPad T490sは、さらに価格が下がりコスパが高くなります。質量がやや重くなるものの、省電力液晶や、Privacy Guard液晶を選択できる点がメリットです。そこまで質量を気にしない方であれば、魅力的な製品でしょう。

ThinkPad X1 Carbonとの比較
  [本製品]
ThinkPad T490s
[未発売]
ThinkPad X1 Carbon
2019
[人気機種]
ThinkPad X1 Carbon
2018
画像
CPU Whiskey Lake-U Kaby Lake R
液晶サイズ 14.0型
液晶種類 FHD IPS
FHD IPS タッチ
FHD IPS 省電力
FHD IPS PG
WQHD IPS DV
FHD IPS
FHD IPS タッチ
FHD IPS PG
WQHD IPS
UHD IPS DV
FHD IPS
FHD IPS タッチ
WQHD IPS
WQHD IPS DV
LTE 対応
質量 約1.24kg~ 約1.08kg 約1.13kg
サイズ
[mm]
[幅] 328.8
[奥行] 226.15
[高さ] 16.7
[幅] 323
[奥行] 217
[高さ] 14.95
[幅] 323.5
[奥行] 217.1
[高さ] 15.95
バッテリー 最大 約23.95時間 最大 約15時間 最大 約20.9時間
※ PG:Privacy Guard
※ DV:DOLBY Vision
※有線LANはいずれもドングルが必要です
価格の比較
  [本製品]
ThinkPad T490s
ThinkPad X1 Carbon
2018
画像
CPU Core i5-8265U Core i5-8250U
メモリ 8GB
ストレージ 128GB SSD
液晶 FHD IPS
価格[税込] 140,270円 167,929円

 

各用途の快適度

ThinkPad T490sの各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。

各用途の快適度
用途 快適度 コメント
Web閲覧、動画鑑賞、Office作業 十分なスペックです。このような作業であれば、FHD液晶で十分でしょう。
RAW現像・画像編集 HシリーズのCoreプロセッサ―に比べると現像などの処理は時間がかかるものの、WQHD液晶であればAdobe RGBカバー率100%の広い色域で作業できます。メモリはたくさん積んでおきましょう。
動画編集 外部グラフィックスを搭載できないため、動画編集向きではないです。ただし、書き出しなどにやや時間がかかりますが、短い動画を簡単に編集する程度なら、大丈夫だと思います。
ゲーム 外部グラフィックスを搭載できないため、ゲーム向きではありません。ただ、2Dゲームや、古い軽めのゲームならできると思います。

 

液晶ディスプレイのチェック

ThinkPad T490sの液晶は、5種類から選択することができます。ただし、PrivacyGuard付の液晶はまだ選択することができません。また、WQHD液晶も一時的に選択できなくなっているようです。

ThinkPad T490sで選択できる液晶

FHD(1920x1080) IPS 250nits (or 400nits) 非光沢
FHD(1920x1080) IPS 300nits 非光沢 マルチタッチ
FHD(1920x1080) IPS 400nits 非光沢 省電力
FHD(1920x1080) IPS 400nits 非光沢 PrivacyGuard
WQHD(2560x1440)IPS 500nits DOLBY VisionAdobe RGB 100%カバー

 

FHD(1920x1080) IPS 非光沢 省電力 液晶

今回のレビュー機に搭載されているFHD 省電力パネル液晶の特性を掲載します。

バッテリー駆動重視の方におすすめです。

型番は「N140HCG-GQ2」となっていました。最大輝度は、当サイトの計測では355cd/m2と比較的高めです。それ以外の特性は以下のタブをご覧ください。

  • 視野角
  • RGB
    発色特性
  • 色域
  • 画素・
    ギラつき
  • 映り込み
  • フリッカー

視野角は広いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線です。やや青色が強く発色していることが分かりますが、ほぼ気になりません。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

色域は比較的広いです。Web掲載用の画像編集なら十分使用できる色域です。当サイトの計測ではsRGBカバー率は98.6%、Adobe RGBカバー率は74.3%でした。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

画素形状です。ギラつきはありません。

画面拡大

非光沢液晶であるため、画面への映り込みは低減されています。

画面への映り込み

少し輝度を下げて(正確には覚えておらず申し訳ないですが輝度設定60%くらい)撮影した限りでは、フリッカーはありませんでした。

フリッカーのテスト
※カメラのシャッタースピードを1/800秒にして撮影したときの画面

 

WQHD(2560x1440)IPS 液晶

次に、WQHDの液晶について、特性を確認します。こちらは、ThinkPad T490で計測したものですが、おそらくT490sにもこちらと同じパネルが搭載されると思います。

色域がAdobe RGBカバー率100%と広いため、画像などを扱うクリエイターの方に適した液晶です。一般ユーザーは、ここまでの色域は必要としないので、他の液晶がいいと思います。

最大輝度は、当サイトの計測では440cd/m2と高いです。

  • 視野角
  • RGB
    発色特性
  • 色域
  • 画素・
    ギラつき
  • 映り込み
  • フリッカー

視野角は広いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線です。どの線もまずまず揃っていて、比較的自然な発色であることが分かります。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

色域は非常に広いです。当サイトの計測ではAdobe RGBカバー率は100%、Adobe RGB比は109.6%でした。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

画素形状です。ギラつきはありません。

画面拡大

光沢液晶であるため、画面への映り込みがあります。

画面への映り込み

少し輝度を下げて(正確には覚えておらず申し訳ないですが輝度設定60%くらい)撮影した限りでは、フリッカーはありませんでした。

フリッカーのテスト
※カメラのシャッタースピードを1/800秒にして撮影したときの画面

 

キーボードおよびタッチパッドのチェック

ThinkPad T490sのキーボードは打ちやすいです。

実測で、キーピッチは約19 x 19mmと広く、キーストロークは約2mm弱ありモバイルノートとしては深いです。キートップは大きく湾曲しており指がフィットして押しやすく、特別小さいキーもなく、非常に打ちやすいです。日本語キーボードだけでなく、英語キーボードを選択できる点もメリットです。

キーボード全体図
キーの拡大図

 

バックライト付きのキーボードを選択することも可能です。

バックライトキーボード

 

タッチパッドおよびクリックボタンも操作しやすいです。トラックポイントも搭載しており、手をホームポジションに置いたまま、マウスカーソルの操作や、画面のスクロールなどを行うことができます。

タッチパッド&トラックポイント

 

パフォーマンスのチェック

ThinkPad T490sのパフォーマンスのチェックです。

CPU

モバイルノートとしては標準的なCPUを搭載しています。モバイルノートでよく行われるような作業なら、いずれも快適に動作するでしょう。また、今回、Core i5-8265Uを搭載していますが、同CPUを搭載した他のノートよりも、やや高めのスコアでした。

CPU性能
~ CINEBENCH R15 ~
Core i5-8265U
他のCPUとの比較(マルチコア)
Core i7-8750H 1100
Core i5-8300H 830
Core i7-8565U 602
Core i5-8265U 639 [レビュー機で計測]
同上 542
Core i3-8145U 340
Celeron N4100 229
※緑色のバーが、本製品で選べるCPUです
※[レビュー機で計測]と書かれたCPU以外は、他のPCで計測した代表値です

 

グラフィックス

グラフィックスは、Intel UHD グラフィックス 620です。旧モデルは外部グラフィックスを搭載できましたが、2019年モデルからは搭載することができなくなりました。外部グラフィックスを搭載したThinkPadが欲しいなら、ThinkPad T490がいいでしょう。

グラフィックス性能
~ 3DMark Time Spy ~
Intel UHD グラフィックス 620
他のグラフィックスとの比較(Graphics score)
GTX 1050Ti 2310
GTX 1050 1787
GeForce MX250
1119
GeForce MX150 1074
Intel UHD 620 401
※緑色のバーが、本製品で選べるグラフィックスです
※[レビュー機で計測]と書かれたグラフィックス以外は、他のPCで計測した代表値です

 

ストレージ

ストレージは、SATA SSD や PCIe SSDを搭載でき、高速です。なお搭載できるのはM.2 SSDのみで、2.5インチストレージは搭載できません。

ストレージ性能
~ CrystalDiskMark ~
256GB PCIe SSD
他のストレージとの比較(Seq Q32T1 Read [MB/s] )
PCIe SSD 3056 [レビュー機で計測]
SATA SSD 550
HDD 170
※緑色のバーが、本製品で選べるストレージです
※[レビュー機で計測]と書かれたストレージ以外は、他のPCで計測した代表値です

 

その他のベンチマークスコア

以下、その他のベンチマーク結果を掲載します。

  • CINEBENCH R20
  • Passmark
  • その他 3D Mark
CINEBENCH R20
~ CPU性能の評価 ~
Core i5-8265U
PassMark Performance Test 9.0
~ CPU性能の評価 ~
Core i5-8265U
3DMark
~ グラフィック性能の評価 ~
Intel UHD グラフィックス 620

 

実際のソフトで計測した処理時間

次に、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間を掲載します。

TMPGEnc Video Mastering Works 7 によるエンコード時間

Core i5-8265Uの割には高速でしたが、Core i7-9750Hと比べると遅いです。

  エンコード時間
x265でエンコード (※1) 29分29秒
QSVでエンコード (※2) 3分06秒
NVENCでエンコード (※3)
XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー
※3 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
x265でのエンコード時間
Core i9-9900K 9分29秒
Core i7-8700 12分27秒
Core i7-9750H 15分37秒
Core i5-8265U 29分29秒 [レビュー機で計測]
Core i7-8565U 31分50秒
Core i3-8130U 45分24秒
※[レビュー機で計測]と書かれたCPU以外は、他のPCで計測した代表値です
x265でエンコード時間中のCPUクロック

 

LTEの通信テスト

対応バンド

ThinkPad T490sに搭載されているLTEモジュールは「Fibocom L850-GL」で、対応バンドは下表の通りです。ドコモ、au、ソフトバンクの重要なバンドに対応しています。

各パソコンのLTEバンド対応表
Fibocom L850-GLの対応バンド
LTE FDD:B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B11/B12/B13/B17/B18/B19/B20/B21/B26/B28/B29/B30/B66
LTE TDD:B38/B39/B40/B41
WCDMA:B1/B2/B4/B5/B8
参照:Fibocom
特に重要なバンドは次の通り
ドコモ回線の重要なバンド・・・B1、B3、B19
au回線の重要なバンド・・・B1、B18(B26)
ソフトバンク回線の重要なバンド・・・B1、B3、B8

 

LTE接続できるかのテスト

2019年5月にテストしたときは、au回線のUQ mobileのSIMではLTE接続できませんでした。ただし、ドコモ回線のIIJmioのSIMであれば接続できました。

2019年8月中旬に、BIOSおよび各種ドライバー、Windows OSを最新にし、再度テストしてみたところ、UQ mobile のSIMで接続できるようになりました。数日使ってみましたが、接続が切れることもなく、通信速度も速く快適でした。また、au回線のmineoも使ってみましたがこちらもトラブルはありませんでした。ただ、ドコモ回線のIIJmioの SIMを数時間使ってみたところ、ときどきLTE接続が切れる現象が発生しました。このとき自動でサービスが再起動して再接続できる場合もあれば、そのまま接続できなくなる場合もありました。接続できなくなったときはPCを再起動することで、再接続できました。ドコモ回線のIIJmioは動作が安定しなかったので、現時点では、au回線のUQ mobileをおすすめします。ただしBIOSなどはLenovo Vantageから最新の状態へアップデートして下さい。

 

カードリーダー/ライターのチェック

内蔵カードリーダー/ライターのチェックです。  

microSDカードのみ対応しています。スロットに挿入して使うため、勝手に抜け落ちない代わりに、カードを交換するにはPINが必要です。さらに背面にスロットがあるので取り出しにくいです。頻繁に抜き差しする方には適さないでしょう。容量の増設のために、カードを入れっぱなしにしておく方には適しています。

SDカード挿入後の画像

 

SDカードリーダー/ライターの速度は普通です。なお、UHS-Ⅱのカードを挿入すると逆に速度が下がります。

CrystalDiskMark 6(SDカード)
最大95MB/sのUHS-Iのカードで測定

 

USB Type-C 充電器 / ドックの動作テスト

USB Type-Cポートを利用して、純正品以外の充電器やドックが使えるか試した結果を、下表に掲載します。

Thunderboltに対応しているため、多くの機器が接続できます。また18WのPD充電器も使用可能でした。ただし、他社製品の充電器を使用して故障しても責任は持てませんので、ご了承下さい。

充電器/ドックとの互換性
  充電できるか? 外部モニター /
有線LANの拡張
ドック ThinkPad USB Type-C ドック
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック
PD充電器
※1
ZHOULX 充電器(65W)
AUKEY 充電器(46W)
cheero 充電器(18W)
5V充電器
※2
ANKER 充電器(5V/2.4A) ×
AUKEY 充電器(5V/2.4A) ×
その他 USB C-DPケーブルで外部モニター接続
※1 Power Delivery対応の充電器
※2 スマホやタブレット向けの5Vの充電器

 

質量のチェック

ThinkPad T490sの質量を、他の14.0型モバイルノートと比較します。

ThinkPad T490sは、14型クラスのノートPCの中では、割と軽い方です。なお、FHD タッチ液晶を選択した場合のみ、約1.31kgとなります。

14型モバイルノートの質量(メーカー仕様値)
VAIO SX14 約0.999kg
ThinkPad X1 Carbon 2018 約1.13kg
ThinkPad T490s 約1.24kg~
レッツノート LV 約1.27kg
Yoga C930 約1.38kg
ThinkPad T490 約1.44kg~
ideapad 530S 約1.49kg
m-Book B401H 約1.50kg
Inspiron 14 7000 約1.54kg
ThinkPad T480 約1.65kg
構成によって質量が大きく変わる製品もあります

 

当サイトの計測値は下表の通りです。

質量の計測結果(当サイトによる実測値)
  WQHD液晶モデル
PC本体 1.243kg
65W ACアダプター 284g
45W ACアダプター 248g

 

バッテリー駆動時間のチェック

ThinkPad T490sのバッテリー容量は57Whと、かなり大容量のバッテリーを搭載しています。

14型モバイルノートのバッテリー容量
ideapad 530S 34Wh
m-Book B401H 35Wh
VAIO SX14 35Wh
Inspiron 14 7000 42Wh
レッツノート LV 43Wh
ThinkPad T480 48Wh
ThinkPad T490 50Wh
ThinkPad X1 Carbon 2018 57Wh
ThinkPad T480s 57Wh
ThinkPad T490s 57Wh
Yoga C930 60Wh
別のバッテリー容量を選べるパソコンもあります

 

メーカー仕様値では、省電力液晶を搭載すると約23.95時間と非常に長いバッテリー駆動時間です。

当サイトの計測値は下表の通りです。いつもは、電源モードを「高パフォーマンス」でのみ計測していますが、今回は「より良いバッテリー」でも計測しています。

他のモバイルノートより長いバッテリー駆動時間ではありますが、今回計測した限りでは、思ったほど伸びなかった印象です。もっと負荷の低い処理やアイドル状態での計測なら、全体の消費電力に対する液晶の消費電力の割合が高くなり、バッテリー駆動時間に差が出るのかもしれません。

バッテリー駆動時間
メーカー仕様値
  省電力液晶 その他の液晶
JEITA2.0測定方法 ※1 最大約23.95時間 約17.7時間
省電力液晶で計測したバッテリー駆動時間(当サイト計測値)
  電源モード
より良いバッテリー 高パフォーマンス
動画再生時 ※2 11時間25分 11時間12分
PCMark 8 Work テスト ※3 11時間11分 7時間04分
※画面輝度は約120cd/m2
※1 メーカー公表値
※2 ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
※3 ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャットなどを実行

 

急速充電に対応しており、60分で80%まで充電することができるとあります。

アイドル状態で計測した充電時間は次のようになっています。速い充電だと思います。

1時間あたりの充電容量
45Wアダプター
アイドル時
58%(約33Wh)
65Wアダプター
アイドル時
68%(約39Wh)
※PCの電源を入れ、アイドル状態で充電
※PCの充電残量が10%から充電を開始し、1時間でどのくらい充電残量が増えたかを計測

 

 


 

以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。

静音性のチェック

動作音(静音性)のチェック結果です。

アイドル時はほぼ無音です。それ以外の状態の動作音も、他のノートと比較して低めだと思います。

騒音値
計測機器:リオン NL-42K
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※CPU使用率およびGPU使用率は平均値です
【PCの状態】
左から1番目:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目:動画再生時(解像度:720x480で実行)
左から3番目:PowerDirector の編集画面でエフェクトを追加しプレビュー再生
左から4番目:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコードした時(x265)

 

参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

使用計器の騒音値の目安

 

パーツの温度のチェック

各パーツの温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。

普通の温度です。

各パーツの温度
測定環境:室内温度 約26℃、 測定ソフト:HWMonitor
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです

 

エンコード時の温度の詳細

下図は、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時のCPU温度の詳細です。70℃~80℃台で推移しています。一時、85℃を超えているときはやや高めかなと思います。

CPU温度
x265でエンコード中のCPU温度

 

表面温度のチェック

本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。

高い負荷をかけると、キーボードの右側がやや熱くなりますが、それ以外は普通の温度です。

PC本体の表面温度
サーモグラフィー:FLIR ONE PRO
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです

 

消費電力のチェック

消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。

今回、省電力液晶を搭載しているため、アイドル時や負荷が小さいときは低めの消費電力です。

消費電力
測定機器:ワットチェッカー TAP-TST7
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています

 

外観のチェック

ThinkPad T490sの外観です。

 

2019年モデルのThinkPadモバイルノートの多くに採用されているThinkShutterの画像です。マルウェア対策として、Webカメラを物理的に覆うことが可能です。

 

天板です。

 

スピーカーは底面に配置されており、音質は普通です。勝手に点数をつけると、10点満点で5点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。

 

指紋センサーを搭載することも可能です。

 

液晶とベゼルには段差があります。

 

液晶は約180度開くことができます。

 

インターフェースの画像です。有線LANを接続するには、ドングルが必要です。また、SDカードスロットは、前述したように、背面にスロット接続します。

 

底面はシンプルです。

 

底面カバーを外したときの画像です。2.5インチベイはありません。メモリはオンボードです。

 

M.2 SSDは換装できると思います。

 

ACアダプターは45Wと65Wが用意されており、サイズも異なります。

 

まとめ

以上が、ThinkPad T490sのレビューです。

大きな特徴は、ディスプレイの選択肢が増えたことです。省電力液晶、PrivacyGuard液晶、広色域のWQHD DOLBY Vision液晶などを選択でき、用途や重要視するポイントに合わせて最適な液晶を選べるようになりました。

キーボードも打ちやすく、液晶も用途に合わせて見やすいものを選択できるため、作業は非常にしやすいと思います。

従来モデルと比較すると、質量が軽くなり、ボディもややコンパクトになって、モバイルPCとして使いやすい製品になったと思います。

ライバル機種ともいえるThinkPad X1 Carbonより質量はやや重いものの、その他の仕様は十分で、価格も安くなっています。X1 Carbonよりやや重くても気にしないような方であれば、非常に魅力ある製品だと思います。

一方、SDカードリーダーはmicroSDカードのみの対応となり、LANポートもドングルが必要になり、外部グラフィックスも選択できなくなりました。ポートが多く外部グラフィックスを搭載できるPCとして魅力があったTシリーズですが、その特徴がやや失われた気がします。

色々な液晶を選択できるモバイルノートPC

ThinkPad T490s

特徴

  • 省電力液晶選択でロングバッテリー
  • PrivacyGuard液晶選択で高セキュリティ
  • 広色域 DOLBY Vision対応のWQHD液晶を選択可能
  • タイピングもしやすい
  • LTE対応

こんなあなたに

  • バッテリー状態で長く使う方(省電力液晶搭載時)
  • 写真編集などをする方(WQHD液晶搭載時)
  • 快適に仕事をしたい方
公式サイトはこちら

 

関連ページ