レノボ ThinkPad X1 Extreme Gen 3 の実機レビュー

更新日:2020年10月3日
CPU Core i9-10885H
Core i7-10850H
Core i7-10750H
Core i5-10400H
GPU GTX 1650Ti Max-Q
メモリ 最大 64GB
ストレージ PCIe SSD (最大2基)
液晶サイズ 15.6インチ
液晶種類 FHD IPS 300nit 非光沢
FHD IPS 500nit 非光沢
4K IPS 非光沢
4K OLED タッチ 低反射
質量 非タッチ:約1.7kg
タッチ:約1.8kg
バッテリー 最大 約16.7時間
価格[税込] 21万円台~
クリエイター向けの軽量ノートPC

ThinkPad X1 Extreme Gen 3は、クリエイティブな作業に使える高めのスペックを備えた、15.6型のモバイルノートPCです。

第10世代Core (H)+GeForce GTX 1650Ti Max-Qという構成で、80Whの大容量バッテリーを搭載しながらも、質量が約1.7kgからと軽いのが大きな特徴です。

また、LTEにも対応するようになり、ますます外出先での作業が行いやすくなりました。モビリティを重視する方が、場所を選ばずに、クリエイティブな作業を行うための機種となっています。

公式サイトはこちら

 

レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は以下の構成でレビューをしています。

レビュー機の構成

Core i7-10850H、GeForce GTX 1650Ti Max-Q、16GBメモリ、FHD IPS 500nit

 

目次

お忙しい方は、「ThinkPad X1 Extreme Gen 3の特徴」のみお読みください。

 

ThinkPad X1 Extreme Gen 3の特徴

ハイスペックだけど軽い15.6型ノート

ThinkPad X1 Extreme Gen 3の特徴は、第10世代Core (H) + GeForce GTX 1650Ti Max-Qという高めのスペックを備えながら、質量が約1.7kgからと軽いことです。持ち運びがしやすいので、撮影現場で画像編集や動画編集、客先での作成したコンテンツの確認作業、出社頻度を抑えた自宅でのテレワークなどの用途に適しています。

持ち運びしやすいクリエイター向けノートPCは他にもありますが、本製品は下図のような位置づけになっています。GeForce RTX 20シリーズのような高性能グラフィックスは搭載していないものの、まずまずのスペックで、質量も割と軽くなっています。比較的負荷のかかるクリエイター向けソフトも快適に動くものが多いでしょう。

 

広色域の4K液晶を選択可能

ThinkPad X1 Extreme Gen 3は、4種類のディスプレイから1つを選ぶことができます。

印刷するための高解像度画像の編集作業であればAdobe RGB 100%の4K液晶、動画編集用途ならDCI-P3 100%対応の4K OLEDディスプレイ、Webコンテンツ用の編集作業ならFHD液晶(当サイトの計測ではsRGBカバー率 95.7%)を選ぶといいと思います。

4K OLEDはタッチ操作にも対応しており、Lenovo Pen Proも使用できるようなので、ペンを使用したクリエイティブな作業にも使用できます。

広色域 4Kディスプレイを選択可能

 

従来モデルは、4Kディスプレイモデルであれば、オプションでX-Rite Pantone Factory Color Calibrationを選択することが出来たのですが、現在のところ、最新のモデルではまだ選択できないようです。サポートにいつ頃選択できるようになるのか確認したところ「未定」とのことでした。

Factory Color Calibration

 

十分なメモリ・ストレージ容量

ThinkPad X1 Extreme Gen 3では、最大64GBのメモリを搭載可能です。もちろん、デュアルチャネル対応です。クリエイター向けソフトを複数起動するような方は、メモリをたくさん搭載できるので嬉しいのではないかと思います。

また、ストレージには、M.2 SSDを2台搭載することが可能です。RAW画像や動画を保存するためには多くのストレージが必要ですが、余裕のあるストレージ構成が選択できるでしょう。

十分なメモリ・ストレージ容量

 

LTEも選択可能

従来モデルのThinkPad X1 Extreme 2019は、LTE非対応でしたが、ThinkPad X1 Extreme Gen 3では、LTE搭載を選択することができるようになりました。

別途、格安SIMなどを用意することで、外出先でも手軽にネット接続を使用することができ、クラウドに保存しているデータなどにもアクセスしやすいです。

 

80Whの大容量バッテリー

ThinkPad X1 Extreme Gen 3は、80Whバッテリーを搭載しており、最大約15.6時間のバッテリー駆動が可能となっています。また、急速充電にも対応しており、135W ACアダプターを利用すると、1時間で約80%の充電が可能です。外出先でも、それほどストレスなく使用できると思います。

ただし、4Kディスプレイの場合は、駆動時間が大幅に短くなることが予想されます。

80Whの大容量バッテリーを搭載

 

ドッキングステーションも利用可能

通常、100W以上のACアダプターが必要なノートPCになると、ドッキングステーションの利用は難しい、もしくは利用できても通常のパフォーマンスが出ないことが多いのですが、本製品は、「ThinkPad Thunderbolt3 Workstation ドック」を利用することで、ドックの使用が可能です。

 

ノートPCへ接続するコネクタは、下図のように電源ポートとUSB Type-Cポートに1度に接続するタイプなっており、100Wを超える電力の供給を可能にしています。このケーブルを1つ挿すだけで、充電および、外部モニターやLAN、USB機器への接続が一度に行えます。

 

Quadro搭載の兄弟機種あり

ThinkPad X1 Extreme Gen 3には、同じボディで、グラフィックスとしてQuadro T1000/T2000を搭載した兄弟機種となる、ThinkPad P1 Gen 3があります。

作業の種類や内容、使用するソフトによっては、GeForce GTX 16系よりも、Quadroを搭載したワークステーションが適しているでしょう。

Quadro搭載の兄弟機種 ThinkPad P1 Gen 3

 

従来機種からのマイナーアップデート機種

ThinkPad X1 Extreme Gen 3は、ThinkPad X1 Extreme 2019の後継機種となりますが、サイズ、質量など基本的な部分には変化がありません。

新機種のThinkPad X1 Extreme Gen 3で変化した主要な部分は、LTE対応、第9世代Core (H)から第10世代Core (H)への性能アップと、GTX 1650 Max-QからGTX 1650Ti Max-Qへのアップグレードです。順当な変化ではありますが、マイナーチェンジにとどまります。

ThinkPad X1 Extreme 2019

 

ライバル機種の紹介

ThinkPad X1 Extreme Gen 3のライバルとなりそうなクリエイター向けノートPCをご紹介します。

まずは、同じGPUを搭載し、似た構成が選択できる、HPのSpectre x360 15です。コンバーチブル型PCで、ペンも使いやすいので、ペンを使用したクリエイティブワークが多い場合は、こちらがより適しているかもしれません。

HP Spectre x360 15 [ライバル機種]

 

本製品よりも少し性能が高いGeForce GTX 1650Ti(Max-Q無し)を搭載したデルのXPS 15もライバル機種となります。ディスプレイが16:10となっている点がユニークです。

XPS 15 [ライバル機種]

 

グラフィックス性能がもう少し高い方がよければ、HPのENVY 15も比較対象になると思います。本格的な動画編集作業等であれば、こちらの方がより快適に動作すると思います。

HP ENVY 15 [ライバル機種]

 

クリエイター向けソフトの使用感

以下、クリエイター向けソフトを使ったときの使用感や各種処理時間を掲載します。

Adobe Lightroom Classic CC(写真編集ソフト)

Lightroom Classic

ThinkPad X1 Extremeで、露光量、彩度、シャドウなどの修正や、回転、垂直方向の変形、補正ブラシやスポット修正などを使ってみましたが、ほぼタイムラグなくプレビュー画面に反映されていました。また、処理に時間のかかる「ディテールの強化」も1枚あたり約13秒で処理が終わっていました。

100枚のRAWデータの書き出し時間は次の通りで、比較的速いです。Lightroom Classicは快適に動くと思います。

ディスプレイは、Webへアップするための現像ならsRGB 約100%カバーのFHD液晶、印刷するならAdobe RGB 約100%カバーの4K IPS液晶がいいと思います。

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間
Core i9-10980HK
32GBメモリ
68秒
Core i7-10875H
16GBメモリ
70秒
Core i7-10750H
16GBメモリ
76秒
Core i7-10850H
16GBメモリ
83秒
Core i7-9750H
16GBメモリ
85秒
Ryzen 9 4900HS
16GBメモリ
87秒
Ryzen 7 4700U
16GBメモリ
91秒
Ryzen 7 4800H
16GBメモリ
94秒
Core i7-10710U
16GBメモリ
96秒
Core i7-10510U
16GBメモリ
109秒
※プロファイル補正を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

Adobe Photoshop CC(画像編集ソフト)

Photoshop

Photoshopも快適に操作できます。

各種フィルターを適用してみましたが動作はスムーズです。

また、「被写体を選択」、「オブジェクト選択ツール」、「コンテンツに応じた塗りつぶし」といった人工知能(Adobe Sensei)を用いた処理も数秒で終わります。

何重にもレイヤーが重なったWebページをデザインしたデータも、スムーズに編集できます。

前述の通り、ディスプレイの色域も問題ありません。用途にあったディスプレイを選ぶといいでしょう。

 

Adobe Premiere Pro CC(動画編集ソフト)

Premiere Pro

Premiere Proも快適です。

4K動画について、カット編集、カラー補正などしてみましたが快適に動きました。また、4K動画に別の4K動画を重ねてワイプの挿入を行ってみましたが、こちらも問題ありません。

書き出しは、GeForce RTX 20シリーズを搭載したノートPCほどは速くないものの、MacBook Pro 16インチよりも速く、そこまで待たされません。

映像のプロのように凝ったものを作るのでなければ、十分使えると思います。YouTube用の動画編集なら、まず問題なく動くでしょう。

Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間
Core i9-10980HK/16GB
GeForce RTX 2070 SUPER
4分04秒
Core i7-10875H/16GB
GeForce RTX 2060
4分50秒
Core i5-10300H/16GB
GeForce GTX 1650Ti
5分18秒
Core i7-10850H/16GB
GTX 1650Ti Max-Q
5分38秒
Core i7-10750H/16GB
GeForce GTX 1650
6分34秒
Core i9-9980HK/16GB
Radeon Pro 5500M(8GB)
8分15秒 (MacBook Pro 16インチ)
Core i7-1068NG7/32GB
Intel Iris Plus
19分35秒
Core i7-1060NG7/16GB
Intel Iris Plus
26分57秒 (MacBook Air)
※ 4K/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露光量」+「自然な彩度」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、H.264形式、YouTube 2160p 4K Ultra HDのプリセットで書き出したときの時間
※ グラフィックスは全てノートPC用
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

TMPGEnc Video Mastering Works 7(動画変換/編集ソフト)

TMPGEnc Video Mastering Works

Core i7-10850Hを搭載しているだけあって、x265によるソフトウェアエンコードは高速です。

また、GeForce GTX 1650Ti Max-Qを搭載していることでNVENCも使用できます。

TMPGEnc Video Mastering Works 7 によるエンコード時間
  エンコード時間
x265でエンコード (※1) 13分56秒
QSVでエンコード (※2) 2分54秒
NVENCでエンコード (※3) 52秒
XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー
※3 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
x265でのエンコード時間
Core i7-10875H 10分02秒
Ryzen 9 4900HS 10分55秒
Ryzen 7 4800H 11分00秒
Core i9-10980HK 11分11秒
Core i7-10875H 11分54秒
Ryzen 5 4600H 13分10秒
Core i7-10750H 13分29秒
Core i7-10850H 13分56秒
Ryzen 7 4700U 15分44秒
Core i7-10710U 19分05秒
Ryzen 5 4500U 19分49秒
Ryzen 3 4300U 25分22秒
Core i7-10510U 28分32秒
Core i5-10210U 28分53秒
Core i3-10110U 42分20秒
Core i3-8130U 45分24秒
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

ディスプレイのチェック

ThinkPad X1 Extremeのディスプレイは、下表の4つから選択することが可能です。

今回は、(2)のFHD IPS 500 nit 液晶ディスプレイについてテストを行いました。

なお、(3)4K IPS 液晶ディスプレイについては、旧モデルのThinkPad X1 Extreme 2019のレビュー記事をご覧ください。おそらく同じパネルが搭載されると思いますので参考になると思います。

ThinkPad X1 Extreme Gen 3のディスプレイの性能比較
  (1)
FHD IPS 300nit
(2)
FHD IPS 500nit
(3)
4K IPS
(4)
4K OLED
輝度 [nit] 300 500 600 400
色域 72% NTSC(100% sRGB相当) 100% Adobe 100% DCI-P3
コントラスト比 700:1 800:1 1400:1 100000:1
※国内モデルで全てのディスプレイを選択できるかは不明

 

FHD IPS 500nit 液晶ディスプレイ

FHD IPS 500nit ディスプレイの各種テスト結果です。パネルは、「N156HCE-GN1」でした。

sRGBカバー率は95.7%でした。100%あれば良かったですが、95.7%でもWeb掲載用の画像・動画編集なら十分使える色域でしょう。最大輝度は、当サイトの計測では526cd/m2と普通です。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。

  • 色域
  • RGB
    発色特性
  • 視野角
  • 画素・
    ギラつき
  • 映り込み
  • フリッカー

色域は比較的広いです。当サイトの計測ではsRGBカバー率は95.7%、sRGB比は97.3%でした。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

ガンマ補正曲線を確認すると、どの色も揃っており、自然な発色であることが分かります。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

視野角は広いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

画素形状です。ギラつきはそれほど感じません。

画面拡大

非光沢液晶であるため、画面への映り込みは低減されています。

画面への映り込み

PWM調光によるフリッカー(ちらつき)の有無の確認結果です。輝度が高めのときはフリッカーはありませんでしたが、輝度を落とすとフリッカーが確認できました。ただし、約30kHzと高い周波数でした。高周波の場合、目への害は少ないと考えられているようです。

各画面輝度のディスプレイの波形
周波数の計測(上の図とはスケールが異なります)
※フォトディテクターにオシロスコープを繋げて計測

 

キーボードおよびタッチパッドのチェック

ThinkPad X1 Extremeのキーボードのチェックです。

実測で、キーピッチは約19x19mm、キーストロークは約1.9mmとなっています。十分なキーストロークで、キートップは大きく湾曲しており、特別小さいキーもなく、非常にタイピングしやすいです。

マウスカーソルの操作にはトラックポイント(赤い突起)が便利です。ただ、トラックポイントは指が痛くなるので苦手という方も、操作しやすいタッチパッドが付いているので安心です。操作性は非常に優れている機種です。

キーボード全体図
キーの拡大図

 

キーボードバックライトも搭載しており、暗い部屋でも作業できます。

キーボードバックライト

 

パフォーマンスのチェック

ThinkPad X1 Extremeのパフォーマンスのチェックです。

CPU

HシリーズのCoreプロセッサーを搭載して非常に高い性能です。さらに、Hシリーズの中でも、高い性能のCore i9-10885Hを選択することもできます。

CINEBENCH R20
~ CPU性能の評価 ~
Core i7-10850H
他のCPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 4900HS 4250
Ryzen 7 4800H 3944
Core i9-10980HK 3860
Core i9-10885H 3516
Ryzen 5 4600H 3260
Core i7-10850H 2995
Core i7-10750H 2965
Ryzen 7 4700U 2908
Core i7-10710U 2211
Ryzen 5 4500U 2180
Core i5-10400H ???
Core i5-10300H 2113
Ryzen 3 4300U 1637
Core i7-1065G7 1484
Core i7-10510U 1459
Core i5-1035G1 1424
Core i5-10210U 1418
 :本製品で選択できるプロセッサー
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

次に、Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPUの電力およびクロックの推移を確認します。なお、今回搭載しているプロセッサーのTDPは45Wです。

CPUの電力は、最初のターボブースト期間を除くと、30~60Wの間を変動しながら動いています。CPU温度が高めのせいなのか、CPU電力、CPUクロックともに安定していません。

Prime95で負荷をかけたときのCPU電力
Prime95で負荷をかけたときのCPUクロック
Prime95で負荷をかけたときのCPU温度
Small FFTs (tests L1/L2/L3 caches, maximum power/heat/CPU strss)を実行

 

グラフィックス

ThinkPad X1 Extreme Gen 3は、外部グラフィックスとして、GeForce GTX 1650Ti Max-Qを搭載しています。

当サイトでの測定では、GTX 1650Ti Max-Qのスコアは、GTX 1650 Max-Qをやや上回る程度です。外部GPUとしてはエントリークラスの性能となります。本格的な4K動画の編集などであれば、もう少し上位のグラフィックを搭載したPCの方が適しているかもしれません。

3DMark Time Spy
~ グラフィックス性能の評価 ~
GeForce GTX 1650Ti Max-Q
他のグラフィックスとの比較(Graphics score)
デスクトップ用RTX 2080Ti 12388
デスクトップ用RTX 2080 10674
RTX 2080 9456
RTX 2080 Max-Q 8068
RTX 2070 7778
RTX 2070 SUPER Max-Q 7425
RTX 2070 Max-Q 7216
RTX 2060 5686
GTX 1660Ti 5708
GTX 1660Ti Max-Q 5030
GTX 1650Ti 3700
GTX 1650 3523
GTX 1650Ti Max-Q 3342
GTX 1650 Max-Q 2983
GTX 1050Ti 2201
GTX 1050 1689
 :本製品で選択できるグラフィックス
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

GPU-Zで確認したGeForce GTX 1650Ti Max-Qの情報は次の通りです。

本製品のグラフィックカードのスペック

 

ストレージ

ストレージはPCIe-NVMe SSDを搭載しており高速です。合計2基搭載することが可能です。

CrystalDiskMark
~ ストレージ性能の評価 ~
512GB PCIe SSD
他のストレージとの比較(シーケンシャルリード [MB/s] )
PCIe-NVMe SSD 1500 ~ 3600
3534
SATA-AHCI SSD 550
HDD 140
 :本製品で選択できるストレージ
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

SDカードスロット

フルサイズのSDカードスロットを搭載しています。読み込み速度も速いので、カメラで撮影したRAWデータや動画データを高速に、ローカルディスク上へコピーすることが可能です。

CrystalDiskMark
~ SDカードスロット性能 ~
最大300MB/sのUHS-Ⅱのカードで測定

 

質量のチェック

ThinkPad X1 Extremeの質量のチェックです。

メーカーサイトには、非タッチディスプレイモデルが「約1.7kg」、タッチディスプレイモデルが「約1.8kg」とあります。今回、非タッチディスプレイモデルですがメーカー仕様値とほぼ一緒でした。GeForce GTX 1650Ti Max-Qの外部グラフィックスを搭載した15.6型ノートPCとしては軽いです。

質量の計測結果(当サイトによる実測値)
  非タッチ
PC本体 1.695kg
ACアダプター+電源ケーブル 429g

 

バッテリー駆動時間のチェック

ThinkPad X1 Extremeのバッテリー駆動時間のチェックです。

前述しましたが、バッテリー容量は80Whと多いです。

バッテリー駆動時間は次のようになっており、45W TDPのCore i7-10850Hに、GeForce GTX 1650Ti Max-Qを搭載した機種としては長いバッテリー駆動時間です。

なお、4Kディスプレイを搭載した場合は、下表よりも3~4割はバッテリー駆動時間が短くなるため、ご注意下さい。

バッテリー駆動時間
  FHD IPS
(1) JEITA2.0 最大 約16.7時間
(2) PCMark 10 Modern Office 11時間36分
(3) 動画再生時 10時間41分
(4) PCMark 8 Work 5時間41分
※画面輝度は約120cd/m2、電源モードは高パフォーマンス
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業

 

バッテリー駆動時のCINEBENCH R20のスコアです。スコアはやや落ちますが、大きく変わるわけではありませんでした。

バッテリー駆動時のCINEBENCH R20
電源接続時との比較
Core i7-10850H 2995
2794
 :電源接続時のスコア
 :バッテリー駆動時のスコア

 

 


 

 

以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は大きく変わります。

静音性のチェック

ThinkPad X1 Extremeの動作音(静音性)のチェック結果です。

アイドル時でもわずかですが動作音が聞こえます。それ以外の騒音値は、他のノートPCと比較して普通だと思います。

騒音値
計測機器:リオン NL-42K
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※CPU使用率およびGPU使用率は平均値です
※約10分経過後に計測しています
【PCの状態】
左から1番目:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目:Adobe Premiere Proで、4K動画にエフェクトをいくつかかけてプレビューした時
左から3番目:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコードした時(x265)
左から4番目:Premiere Proの書き出し時

 

参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

使用計器の騒音値の目安

 

パーツの温度のチェック

ここでは、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時の温度のみを掲載します。

処理を実行してからしばらくは90℃台で推移しており高めの温度です。それ以降は、CPUクロックが落ちたり上がったりを繰りかえし、それに伴ってCPU温度も上下を繰り返しています。

x265でエンコード中のCPU温度
「エンターテイメント」モード

 

表面温度のチェック

本体の表面温度のチェック結果です。

高い負荷をかけるとキーボード中央部分がやや熱くなります。ただし、常時手の平を置いているパームレストの温度はそれほど高くないため、そこまで気にならずに使えると思います。

PC本体の表面温度
サーモグラフィー:FLIR ONE PRO
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後に計測しています

 

消費電力のチェック

消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。

一般的なノートPCよりは高い消費電力です。

消費電力
測定機器:ワットチェッカー TAP-TST7
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後から確認できた中で最も高い消費電力を掲載しています

 

外観のチェック

ThinkPad X1 Extreme Gen 3の外観のチェックです。

過酷な状況にも耐えられるよう、MIL-SPECの12のテストや、その他の品質チェックをクリアしています。ビジネスシーンでも、安心して使用できます。

 

天板の画像です。

 

スピーカー音はいいと思います。ノートPC基準で採点すると、10点満点で6~7点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。

 

ウェブカメラは、物理的に隠すことができます。また、カスタマイズでIRカメラを選択することも可能です。

 

キーボードの横には指紋認証装置も搭載しています。

 

GeForce GTX 1650Ti Max-Qを搭載している割には、非常に薄いボディです。

 

ThinkPad X1 Extreme Gen 3は、Thunderbolt 3に対応したUSB-Cを2ポート備えています。Power Deliveryに対応しているため、外出先には軽量の充電器などを携帯するのもいいでしょう。高い負荷をかけると容量不足になってバッテリーが減りますが、低めの負荷であればちゃんと充電できます。また、DisplayPort機能にも対応しています。

SDカードリーダーを備えている点も嬉しいです。デジタル一眼レフなどからの画像や動画を取り込みやすく、クリエイター向けノートPCにふさわしい構成だと思います。

 

液晶が開く最大の角度です。

 

底面です。

 

底面カバーは割と簡単に外せます。2つの冷却ファンで冷却しています。

 

メモリは2スロットあり、自分で換装することもできるでしょう。

 

M.2スロットは2つあり、どちらもType 2280のSSDを装着できます。

 

ACアダプターは薄型です。

 

まとめ

ThinkPad X1 Extreme Gen 3は、約1.7kgからと軽く、外へ持ち運んで作業を行うスタイルに適した、クリエイター向けモバイルノートPCです。

バッテリー駆動時間が長く、LTEにも対応し、堅牢性も高く、外出先で非常に使いやすいです。

軽量ですが、第10世代Core (H) +GTX 1650Ti Max-Qの構成で、スペックはそこそこ高いです。ただ、GPU性能はそこまで高くないので、作業内容に合っているか見極める必要があるでしょう。

ディスプレイは、色域および解像度が異なる4種類のパネルが用意されており、目的に応じて選択できるのが嬉しいです。

フルサイズのSDカードスロットを搭載し、読み込み速度が速い点もメリットです。また、最大64GBのメモリ、2基のSSDを搭載でき、十分な容量にすることも可能です。USB-CがPowerDeliveryおよびThunderbolot 3に対応しているのもいいですね。

軽さを重視し、頻繁に持ち運ぶためのクリエイター用ノートPCを探している方にピッタリだと思います。

約1.7kgからと軽いクリエイター向けノートPC

ThinkPad X1 Extreme Gen 3

特徴

  • 第10世代Core (H) + GTX 1650Ti Max-Q
  • 約1.7kgからと軽い
  • 4種類のディスプレイから選択可能

こんなあなたに

  • 外出先でのクリエイティブな作業が多い方
  • 軽さを重視する方
  • 価格21万円台[税込]~
公式サイトはこちら

 

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