SONY VAIO S(SE)の実機レビュー

更新日:2011年12月05日

液晶が良質

VAIO S(SE)は、液晶画面が非常に見やすい15.5型ノートパソコンです。

液晶画面は、IPS液晶を搭載し視野角が広く、色再現性も高く、ギラツキやザラツキも感じません。ノートPCにしては珍しい良質な液晶ディスプレイです。

さらに、画面解像度はフルHD(1920x1080)となっておりデスクトップが広く使えます。ただし、文字は小さくなるので、万人向けではありません。

15型クラスのPCの割には軽くて薄いです。バッテリ駆動時間もそこそこあります。人によってはモバイルPCとしても使用できると思います。

なお、今回レビューする製品は、店頭で販売されているモデルではなく、メーカー直販店(ソニーストア)で購入した製品となります。

目次

VAIO S(SE) の基本スペック

VAIO S(SE)の基本スペックを紹介します。※ソニーストアで販売している2011年秋冬 オーナーメイドモデル(直販モデル)の情報です。モデルが変わると搭載されるパーツは異なります。

CPU
Core i3/i5/i7が選択可能です。本機はCore i5-2430Mです。
グラフィックカード
Radeon HD 6470Mまたは6630Mを選択可能です。本機は、Radeon HD 6630Mです。
液晶ディスプレイ
15.5型ワイド(フルHD 1920x1080)です。光沢液晶ですが、低反射コートで覆われているため、映り込みは少ないです。
メモリ
2~8GBのメモリを搭載可能です。本機は、4GBのメモリを搭載しています。
 
ハードディスク
320GB~750GBの間で選択可能です。本機は320GB(5400rpm)です。

SSD
HDDの代わりに128GB(シングル)、または256GB~1TB(4本でRAID 0)を選択可能です。

光学ドライブ
DVDスーパーマルチまたはブルーレイドライブを選択可能です。本機はDVDスーパーマルチドライブです。

バッテリ駆動時間
メーカー公表値で6~7.5時間です。別売り拡張バッテリを搭載した場合は12.5~15時間です。実測値は後述します。

特徴1 - 液晶の視野角が広く、色再現性も良い

VAIO S(SE)の液晶ディスプレイは、ノートPCにしては珍しく高い品質だと思います。

まず、IPS液晶を搭載し、非常に視野角が広いです。また、色の再現性が素晴らしい液晶ディスプレイです。低反射コートを施し、映り込みが少なく、またギラツキやザラツキもない非常に見やすい液晶です。


正面からの画像

 

詳細を見ていきます。

まずは、視野角です(下図)。かなり斜めから見ても色が崩れず、画面を認識できます。


視野角(斜めから見たときの見やすさ)

 

カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線を確認すると、どの色もほぼ直線的(補正の必要がなかった)です。工場出荷状態でも、非常に色再現性に優れています。ガンマ補正曲線がここまで直線的なノートPCの液晶ディスプレイは珍しいです。

青っぽい液晶が好きな人、または青っぽい液晶に慣れている人は、画面が黄色っぽく感じるかもしれませんが、(外光の種類にもよりますが)慣れればこちらの液晶のほうが目が疲れにくいと思います。ただし、後述しますが、本機はフルHD液晶を搭載しているため、文字が小さくなり、そういった点で目が疲れやすい人はいると思います。

※同じパネルでも調整具合はやや異なります。また異なるパネルが搭載される可能性もあります


ガンマ補正曲線
※ i1 BASIC PROで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2
※見方の詳細については、miyahan.com様、DOS/V Power Report様のページをご確認ください

 

色域のチェックです。色域は、ノートPCとして一般的な広さです。

ガンマ補正曲線が直線的であったため、色域も広ければクリエイター用途にも使えるかなと思ったのですが、それほどの色域の広さはありませんでした。


ガモット図(a*b*平面)
左図はsRGBとの比較で、右図はadobe RGBとの比較
※ i1 BASIC PROでICCプロファイルを作成後、ICCViewでグラフを作成

 

画素の拡大図です。画素はシンプルな形状をしています。本製品は、低反射コートで覆われているため、周囲の映り込みもあまり気になりません。低反射コートは非常になだらかな凹凸になっています。実際の画面をみてもギラツキはありません。また、ドットピッチが狭いため、ザラツキも感じません。


画素の拡大図
※マイクロスコープ(FS-SST240 )で撮影

特徴2 - フルHD液晶ディスプレイ

本機は、フルHD(1920x1080)の液晶ディスプレイを搭載しています。

下図は、1366x768の解像度の他社PCと、本PCを比較したときの画像です。左が1366x768の他社PCで、右が1920x1080のVAIO S(SE)です。両方の画面でブラウザを起動していますが、デスクトップ画面の占有率がかなり違います。VAIO S(SE)はデスクトップの右側に別のアプリケーションを開けるほど、画面の空きスペースに余裕があります。また、Webページの下のほうまで表示させることが可能です。

ただし、VAIO S(SE)は文字や画像が小さくなります。この小さい文字をどのように感じるかは、個人差があります。全く平気な人もいますし、長時間作業すると目が疲れると感じる人もいますし、とても使用できないと感じる人もいます。

筆者の場合は、2~3時間の作業であれば気になりません。ただし、普段23型のフルHD液晶で作業をしていて、こちらの画面に慣れているということもあり、長時間使用すると目が疲れやすく感じます。


1366x768と1920x1080の解像度の違い

 

15型クラスのフルHD液晶のPCは、なかなか店頭で売られていないので、実機で確認しづらいと思います。そこで、店頭で確認したい方は、VAIO Zの画面を確認すると良いと思います。VAIO Zは、13.1型(解像度:1600x900)という液晶を搭載していますが、VAIO S(SE)とほぼ同じ文字の大きさです(ただし、正確にはVAIO S(SE)のほうがわずかに小さいです)。VAIO Zなら店頭に置いてある確率が高いと思います。

VAIO Zの文字が小さいと感じるなら、VAIO S(SE)での作業も無理でしょう。


VAIO Zと文字の大きさは同じ位

特徴3 - 15型クラスのPCにしては軽い


重量の実測は1.953kg

VAIO S(SE)は15.5型の大きさの割には、重量が軽いです。

重量を実測した結果、1.953kgでした。

12~13型クラスのモバイルノートPC(約1.1~1.6kg)と比較すると重いですが、外出先へ持ち運べないこともない重量です。

移動距離が短い人や、主に車で移動する方などであれば、この位の重量でも問題ないと思います。

特徴4 - 15型クラスのPCにしては薄い


薄さ(高さ)の実測は約26mm

本機は、15.5型クラスのPCの割には、本体が薄いです。

ゴム足を含め、最も厚い部分を計測したところ、約26mmでした。

もし、外出先へ持って行ったり、室内でPCを移動したりすることが多い方は、持ち運びやすいと思います。

天板もフラットなので、書類を重ねて、一緒に持ちやすいです。

 

特徴5 - 切替可能なグラフィックス


グラフィックパフォーマンス切り替えスイッチ

VAIO S(SE)は、内蔵グラフィックス(インテルHDグラフィックス 3000)と、外部グラフィックス(本機の場合、Radeon HD 6630M)を切り替えて使用することが可能です。

切り替えは、キーボード上部にある「グラフィックパフォーマンス切り替えスイッチ」で行います。STAMINAにすると内蔵グラフィックスを使用し、SPEEDにすると外部グラフィックスを使用します。

特徴6 - WiMAX内蔵


WiMAX内蔵

本機は15型クラスのノートパソコンとしは珍しく、WiMAX子機を内蔵しており、WiMAX子機アダプターを接続しなくても、インターネット通信することが可能です。

外出先で、インターネットに接続したい場合は便利です。ただし、WiMAXは地方で接続しにくいのでご注意ください。

 

キーボードとタッチパッドのチェック

キーボードのチェックです。

キーピッチの実測値は19x19mmと十分な広さです。キーストロークは約1.7mmとやや浅めです。キートップはわずかに凹んでいるように見えます。

テンキーが搭載されているため、手のホームポジションおよびタッチパッドがやや左にずれて、姿勢が悪くなってしまう時があります。


キーボード全体図


キーの拡大図

 

タッチパッドは動かしやすいです。クリックボタンはやや固めです。


タッチパッド

総合ベンチマーク

Core i5-2430M、メモリ4GB、ハードディスクを搭載した本機での各種ベンチマークの結果です。

切替可能なグラフィックスは、SPEED(Radeon HD 6630M)にして計測しています。

グラフィックス関連のスコアは、そんなに良くはありません。

プロセッサ、メモリ、ディスク関連のスコアは、それほど高性能なスペックにしなかったため、標準的な値です。VAIO S(SE)は、もっと高性能な構成にできるため、そちらで計測すればスコアも伸びます。

Windows エクスペリエンス インデックス

PassMark Performance Test 7.0

3DMark06(1.2.0 1901)


1280x720で実行

PCMARK7 v1.0.4

ゲームベンチマークのチェック

Radeon HD 6630M の外部GPUを搭載したVAIO S(SE)でのゲームベンチマーク結果です。

重めのゲームは無理ですが、軽めのゲームなら解像度を落とせばプレイ可能でしょう。

ゲームベンチマーク
製品名 SONY
VIAIO S(SE)
基本スペック Core i5-2430M
Radeon HD 6630M
重めの
ゲーム
ロストプラネット 2(テストB) 1920*1080
1280*720
ファイナルファンタジー XIV 1920*1080
1280*720 1603(重い)
中程度の
ゲーム
バイオハザード5(テストB) 1920*1080 RANK C(28.2 fps)
1280*720 RANK B(48.9 fps)
モンスターハンターフロンティア 第二弾(絆) 1920*1080 1834
1280*720 3080
THE LAST REMNANT 1920*1080 25.53 fps
1280*720 47.46 fps
軽めの
ゲーム
デビルメイクライ4 1920*1080 RANK C
1280*720 RANK A
リアル彼女(ハイクオリティ) 1280*720 RANK A(29 REAL)
カスタムメイド3D 1920*1080 6056(59 fps)
1280*720 6166(59 fps)
※THE LAST REMNANTはバイオハザード5よりスコアが悪い場合もあるので、「中程度のゲーム」欄へ移動しました。

動画のエンコード時間のチェック


ペガシス TMPGEnc Video Mastering Works 5

TMPGEnc Video Mastering Works 5 による動画のエンコード時間のチェックです。

本機のCPUは、Core i5-2430Mです。

x264でエンコードしたときは35分33秒、クイック・シンク・ビデオでエンコードしたときは15分04秒でした。

ノートPCとしては、一般的な処理時間だと思います。

※クイック・シンク・ビデオとは、CPU内蔵のグラフィックスのエンコードエンジンで、動画変換を高速に行う機能


TMPGEnc Video Mastering Works 5 によるエンコード時間
エンコード方法 エンコード時間
x264でエンコード 35分33秒
クイック・シンク・ビデオでエンコード 15分04秒
AVCHDの動画(ファイルサイズ:1.54GB、再生時間:約13分、解像度:1920x1080)を、
iPhone 4で視聴可能なMPEG-4 AVC(解像度:1280x720)へ変換

バッテリ駆動時間のチェック


バッテリ駆動時間の実測は4時間30分

VAIO S(SE)のバッテリ駆動時間のチェックです。

切り替え可能なグラフィックスをSTAMINA(内蔵GPU)にして、実測したところ、4時間30分のバッテリ駆動時間でした。

なお、テストでは、動画(DVD相当の画質)をHDDに保存し再生させ、休止状態へ入るまでのバッテリ駆動時間を計測しました。画面の輝度は中間の設定にしています。

15型クラスのPCとしては、長めのバッテリ駆動時間だと思います。

 

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